世界最小のイルカが絶滅寸前の危機に
2017/05/12
ヨウスコウカワイルカという動物をご存じでしょうか。その名の通り、中国の長江(揚子江)にすむ珍しい淡水のイルカです。
しかし、2006年の調査で1頭も確認できず、絶滅したのではないか、というニュースが流れました。
こんなにも科学が進歩して、自然保護活動も盛んになった21世紀に、私たちの目の前で野生生物が絶滅するなんて...。当時大学生だった私は深い衝撃を受けました。
そして先日、今度は別のイルカが絶滅寸前、というニュースが流れました。
ヴァキータ(コガシラネズミイルカ)という、メキシコに生息する、世界最小のイルカの一種です。
長年100頭から多くても数百頭とされ、絶滅が危惧されてきましたが、今年2月に発表された最新の調査結果によると、残る個体は推定30頭。
専門家は早ければ2018年には絶滅する恐れがあるという予測も指摘されています。
危機の原因は、トトアバという大型魚を獲る網に誤ってかかり命を落とす「混獲」。
同じく絶滅が危惧されるトトアバは、国際取引がワシントン条約によって禁止されていますが、浮袋が中華料理の高級食材となるため、密漁と違法取引が後を絶ちません。
長年、政府や研究者と共に保全活動を続けてきたWWFメキシコは今、ヴァキータを何としても守るため、関係国政府に対し緊急措置を強く求め、保護を訴えるキャンペーンを計画しています。
対象となる生物だけでなく、他の生物にも危機をもたらす違法取引や密猟。
日本も野生生物の輸入国、そして原産国として、こうした問題に関係している可能性が十分にあります。
海の向こうの保護活動が成功することを願いつつ、私たちも日本でできること、するべきことに全力を尽くさなければ、と決意を新たにしました。(トラフィック 北出)