【動画あり】ゾウの命も、森の命も


こんにちは! WWFインドネシアのワンダです。

私はスマトラ島中部にあるテッソ・ニロ国立公園で、ゾウパトロール隊専属のゾウ専門医として活動しています。

ゾウパトロールの活動は、訓練を受けたゾウのチームで国立公園をパトロールし、違法な開発を監視しながら、集落に近づく野生のスマトラゾウを森へ帰らせる取り組みです。

パトロールに出るゾウとゾウ使いたち

インドネシアでは、違法なアブラヤシ農園の開発などによって、すみかの森を失った野生のゾウが、集落の近くに現れ、農作物を荒らしたりする事故が、しばしば起きています。

住民が仕掛けた毒や罠でゾウが死ぬこともあり、森林破壊と人、野生生物の被害が、負の連鎖になっています。

広大なスマトラの島に、わずか数千頭しか生き残っていないといわれる、絶滅寸前のスマトラゾウにとって、これは大変な問題。

そのため、ゾウを傷つけることなく森へと返す、ゾウパトロールの取り組みが行なわれているのです。

私の仕事は、このパトロール隊の8頭のゾウの健康管理。

ゾウ使いだけで健康状態を見るのは難しいので、栄養管理から寄生虫の検査まで、ゾウに仕える気持ちで日々面倒を見ています。

大変な仕事ですが、嬉しいこともあります。

ゾウの寄生虫を調べるワンダさん。スマトラゾウの危機を知ったことが、ゾウの専門医になる道を選んだきっかけでした。今日も現場での大変な取り組みを続けています

この6月には、パトロール隊のメスのゾウ「リサ」が生んだ、仔ゾウの「リンバニ」が、無事に1歳になりました!

リンバニが生まれた朝のことは、忘れられません。
約22カ月、地上の生物の中で最も長い妊娠期間を経て、その瞬間はやってきました。

そのリンバニも、3月から時折リサについてパトロール隊と共に森を巡回しています。

森を守る頼もしいパトロール隊員のゾウたち。獣医として、これからも彼らを支えてゆきたいと思います。(聞き取り、編成:自然保護室 伊藤)

お母さんのリサと、赤ちゃんのリンバニ。生まれた時は119キロでした

お利口なリンバニは、薬をバナナに隠して処方しても、器用にバナナだけ食べてしまいます。薬を嫌がるのは、人の子供と同じです

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