異常気象の現状と予測について、IPCCの報告書が発表されました
2012/03/28
温暖化担当の小西です。
今日28日午後9時に、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)から、世界の異常気象についての特別報告書の全文が発表されました。
IPCCは、国連の温暖化に関する最高峰の科学者の集まりで、今回の報告書は、正しくは「気候変動への適応推進に向けた極端現象及び災害のリスク管理に関する特別報告書(SREX)」というもの。なんか難しく聞こえますが、要は温暖化によって引き起こされる異常気象と災害について、現状と予測を報告するものです。
日本でも猛暑の夏がだんだん当たり前になってきましたが、この報告書では、20世紀中に世界全体で暑い日、暑い夜が増加したことを確認しています。
そして、20年に一度の頻度だった猛暑が、21世紀末には世界のほとんどの地域で、2年に一度起こる可能性が高い、と予測しています。想像してみてください、日本に住む私たちの子ども、孫たちが、この猛暑にさらされることになるのです。
また、2003年には熱波がヨーロッパを襲い、5万人が亡くなりましたが、こうした今まで経験しなかったような異常な天候に見舞われると、もともと温暖化への「適応」が難しい途上国はもちろん、先進国でも、人の命にかかわる事態が引き起こされます。
今回の特別報告書は、このような温暖化の被害を軽減するための「適応」についてくわしく報告しているものです。
異常気象に見舞われる時ほど、温暖化の影響を身近に感じる事はないと思いますが、慣れ親しんだ土地の天気が大きく変わっていくことを、世界規模で予測しているのが、この報告書なのです。
報告書では、台風の強大化や、豪雨、海面上昇による高潮の増加、干ばつの長期化と頻発化、氷河の後退や、氷河湖決壊による洪水の危険についても予測し、適応手段を提案していますが、何より教訓とすべきは、やはり、温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を止めること、です。
おりしも日本ではエネルギーの選択が大きく議論されています。エネルギーの選択は温暖化防止政策そのもの、ぜひ温暖化防止の視点からも選んでいきたいものです。