立ち上がるアラブの若者たち
2012/12/01
COP18の開催国カタールより、温暖化担当の小西です。
カタールという国、皆さんご存知でしょうか。
秋田県ほどの国土に世界有数のエネルギー資源が眠る国。石油の埋蔵量は世界14位、天然ガスはロシアに次いで世界2位、液化天然ガスの輸出量では世界1位を誇っています。
人口は約170万人の大半が外国人労働者で、カタール人は30万人ほど。IMF(国際通貨基金)によれば、2011年の経済成長率は18.82%と世界1位で、1人あたりのGDPもルクセンブルクに次いで2位と、17位の日本の倍以上です。そのため、1人あたりの温室効果ガスの排出量も世界1位(日本の約4倍です)。
これまでの国際交渉で、カタールを含む産油国は、温暖化対策の進展による石油販売収入の低下を保障する要求はしても、削減目標はもちろん、排出データさえ提出してきませんでした。
しかし今回、湾岸産油国で開催された初めてのCOPは、地球温暖化を止めたいと願う多くの若者たちを活動に駆り立てました。アラブ世界で初めて15か国の100を超える団体がAYCM(アラブ・ユース・気候運動)というネットワークを結成したのです。
各国からドーハのCOP18会場にやってきた、およそ100人のAYCMの若者たちは、カタールを含むアラブ諸国に削減目標を提出し、COP18を成功させるよう求めて活動しています。
11月29日には、次期FIFAワールドカップの招致にちなんでサッカー試合を模したアクションも展開。世界のメディアの注目を集めました。
こうした動きの背景には、2010年のチュニジアに端を発した「アラブの春」があります。歴史を変えた市民の力が、温暖化に対する国の姿勢や政策にも、確かに及ぼうとしているのです。
これまで石油で身を支えてきた中東の国々。ここで今、若者たちが新しい時代の扉を開こうとしています。