産油国から地球温暖化対策を!
2012/12/05
カタールのドーハCO18会場より、温暖化担当の小西です。
会議が2週目に突入した12月3日、WWFでは「湾岸産油国の気候変動への耐性と環境都市の役割」と題したサイドイベントを行ない、中東からの温暖化対策を訴えました。
中東の産油国はこれまで、石油や天然ガスなどの化石燃料で得たオイルマネーを、先進国がたどってきた「持続不可能な」都市建設に投じてきました。
その象徴の一つが、ここドーハの町です。
砂漠に築かれたこの巨大な人工都市を支える海水を淡水化するシステム、冷房や食料輸入、車道を埋め尽くす新車は、いずれも大量の化石燃料によりもたらされています。
カタールの国民1人あたりのCO2排出量は世界1位。もし人類のすべてが、カタール人と同じ生活をしたら、地球が6.6個必要になるほど環境への負荷は膨大です。
一方で、海岸部に都市が集中する中東や北アフリカは、温暖化の影響を最も強く受ける地域でもあります。
ボストン大学の研究によると、海面上昇は中東地域の数千万人の住居を奪う可能性があるとのこと、淡水化プラントや発電所なども破壊されれば、多くの国民の生活に深刻な影響が及びます。いかな産油国とはいえ、これからの国の未来を、化石燃料で支えてゆくわけにはいかないのです。
実際、新しい時代に向けた動きも出始めています。
たとえば、アラブ首長国連邦のマスダール・シティー。ゼロ・カーボンとゼロ・エミッションをめざす未来都市で、WWFが「地球1個分の暮らし」に認定した町です。
サイドイベントで、WWFのサマンサ・スミスは次のように訴えました「再生可能エネルギーへの転換は持続可能な経済成長をもたらし、中東の若者に夢を与え、雇用を生み出します」。
湾岸の産油国が、オイルマネーを新エネルギーの開発に振り向け、世界のグリーン成長を主導できるか。その大きな可能性が今、注目されています。