「ホットエア」のバブルを消そう!
2012/12/06
COP18の開催地、カタールのドーハより、温暖化担当の小西です。
先日、会議場の入口で参加者が皆「ホットエア・クレジット」と書かれた紙を渡されました。歩みを進めて会場に近づき、促されるままその紙をごみ箱に入れると、大きな声で歓迎されます。ロシアや東欧諸国の「ホットエア」を捨てさせよう、というパフォーマンスです。
京都議定書の第1約束期間の基準年の1990年前後、経済が停滞していたロシアや東欧諸国は、CO2などの実際の排出量が、京都議定書で割り当てられた排出割当量を下回る事態が生じました。
この差分が、「ホットエア(余剰割当排出量)」と呼ばれるものです。
困るのは、他の多く温室効果ガス排出している他の国がこれを買い取ると、その国はその分だけ排出を削減しなくてよい、というルールになっていることです。
試算によれば、ホットエアの総量は世界全体でおよそ130億トン。日本の年間排出量のおよそ10年分に相当します。
これが、第2約束期間や2020年以降に繰り越され、引き続き売買されることになったら!2013年以降の各国による温室効果ガスの削減努力の多くが、打ち消されてしまう可能性があります。
そのため、世界のNGOは今、ドーハでホットエアを帳消しにするか、利用の制限を求める活動を展開しています。
上のパフォーマンスを実施したのは、世界の700以上の環境団体がつくるCAN(気候行動ネットワーク)インターナショナル。WWFも3日、グリーンピースと共同で記者会見を行ない、ホットエア問題の重要性を訴えました。
ホットエアを帳消しすれば、締約国は実質的なCO2の削減に向け、進むことになるでしょう。第2約束期間の開始まで、残された時間はわずかしかありません。COP18会議は、こうした抜け穴を塞ぐことも期待されています。