【COP23関連】フランスのマクロン大統領がWWFのパビリオンを訪問


ドイツ・ボンの国連会議(COP23)の会場より、温暖化担当の山岸です。

会議が終盤を迎え、閣僚級会合が始まった11月15日の夕方、会議場内に私たちWWFが出展しているパビリオン周辺は、身動きができないほどの人で埋め尽くされました。

市民社会の代表と意見交換をするため、フランスのマクロン大統領とユロ環境大臣が訪れたのです。

トランプ大統領がパリ協定の離脱を宣言した数時間後、マクロン大統領はパリ協定の重要性を訴える演説を行ないました。

そして、「アメリカを再び偉大にしょう」と訴えたトランプ大統領に対して、マクロン大統領は「地球を再び偉大にしよう」と呼びかけたのです。

マクロン大統領を一目見ようと集まった参加者が、厚い人垣を作り始めたのは3時間前。

そしてやって来た2人の周りは熱気と興奮に包まれ、警護を押しやって語りかけ、握手を求め、写真を撮ろうとする人でもみくちゃになりました。

WWFのパビリオンを訪れたマクロン仏大統領。WWFの広報担当者が現場で3時間以上も大統領を待ち、人々が殺到する中で体を張って写真を撮ってくれました(ちなみに彼女は握手もした!そうです)

この日、パビリオンで行なわれた面談で、WWFのインターナショナルチームはマクロン大統領に30分にわたり、化石燃料と原子力から再生可能エネルギーへの移行を着実に進めること、EUが削減目標を引き上げる先導的役割を果たすこと、そして世界の気候変動対策のリーダーシップを発揮することなどへの期待を伝えました。

分刻みで日程をこなす主要国の大統領と環境大臣が、環境NGOとの対話に時間を割き、自ら足を運び、真摯に耳を傾けたことは、温暖化の問題がいかに重要な政策課題であるか、そして市民社会がいかに大きな役割を担っているかを、示す事実と言えるでしょう。

人であふれかえったWWFのパビリオン。今回の大統領の訪問は、WWFフランスの担当者の大変な努力で実現しました

パリ協定の採択から2年が経つ12月12日には、マクロン大統領が金融面から気候変動の解決を図ることを目的に開催を提唱した環境サミットが開かれます。

こちらの成功の行方も注目したいと思います。

特設ページ

フランス政府のパビリオンで演説するユロ環境相。マクロン大統領が帰った後もユロ環境相は残って、ひと仕事していました。

現地レポート

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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