名島海岸に渡り鳥がやってきた
2013/05/29
自然保護室の前川です。
新緑がまぶしい季節となりましたが(いや、もう過ぎてるか?)、福岡から嬉しい春の便りが届きました。
昨年12月、WWFでは地元の市民団体と共同で、渡り鳥の保護に貢献する海岸作りをした福岡市港湾局に、感謝状を贈呈しました。
今、この名島海岸にたくさんのシギ・チドリが、羽を休めに訪れているそうです。
ここは人の生活圏に近いため、安心して鳥たちが休めるよう、人が近付けない休息場所が作られました。
しかし課題はそれだけではありませんでした。毎年多くの漂着ゴミに加え、アオサと呼ばれる海藻が流れ着くのです。
大量のアオサが腐敗すると社会問題にもなるため、市は民間に委託し、重機による海岸清掃を行なってきたのですが、機械作業では海岸の小さな生きものたちも取り去られてしまいます。
そこで、ふくおか湿地保全研究会(代表 服部卓朗氏)では、重機ではなく人の手による清掃を提案。さらに地区の住民にも呼びかけ「渡り鳥のえさ場づくり実験」と称した海岸清掃を実施して、アオサを残し、ゴミのみを取り除きました。
結果は大成功。
アオサと砂の間に小さな生きものが残ったことで、それらをエサとする渡り鳥がたくさんやってきたのです。ハマシギの群もたびたび訪れ、この春の累計渡来数は2000羽!に達したとみられています。
今回、名島公民館熟年会から7名が清掃に参加(※)し、「近くで鳥がエサを食べていたり、飛んでいたりする姿を見ることができて、清掃にやりがいを感じた(渡辺正二さん・名島公民館館長)」「鳥に関心をもつようになった。これからも一人一人が支え合いながら清掃をつづけ、もっと参加する人が増えると良いと思う(上杉恭一さん)」といった声が聞かれたそうです。
市民団体の地道な観察と具体的な提案、市との連携、そして住民の参加。今、福岡では、都市における生きもののための環境づくりが、確かに成功しつつあります。
※今回参加された名島公民館熟年会のみなさん(敬称略 五十音順) 大坪耕一郎、上杉恭一、首藤通保、野崎福三、金森憲蔵、渡辺正二、柳田栄