よみがえれ、サイガ!
2013/10/11
カザフスタンのサイガが増えた!という記事が先月、ナショナルジオグラフィックのDaily Newsで紹介されていました。
サイガというのは、カザフスタンやモンゴルなどのステップ(乾燥した草原)などに、群で生息しているウシ科の動物です(ちなみにサイとは全く関係ありません)。
鼻の部分が妙に膨らんだ、面白い顔が特徴ですが、これは吸い込む空気を暖め、ホコリなどを除去するための器官とのこと。
冬には氷点下十数度にもなる中央アジアの平原で、何万年も生き続けてきた野生動物ならではの顔?です。
このサイガ、1990年代の初め頃までは数十万頭が生息していたといわれます。それが、漢方薬の原料になる角を狙った乱獲により、絶滅が心配されるほどまでに激減しました。(角をもつオスの写真がないのが残念ですが・・・)
特に、カザフスタンを含む中央アジアの旧ソ連地域では、ソ連崩壊後、社会や経済の混乱のあおりを受けて、密猟が横行したようです。
結果、サイガはIUCN(国際自然保護連合)の『レッドリスト』で絶滅寸前のランクである「CR(近絶滅種)」にランクされるほどの危機に追い込まれました。
しかしその後、サイガの生息国では、研究者や政府関係者、自然保護団体のメンバーらによる懸命な保護活動が行なわれ、その数を回復。近年は増加の傾向が顕著になっているとのことです。
カザフスタンと並ぶサイガの重要な生息地が残るモンゴルでは、WWFもその調査や保護に携わってきました。
密猟のみならず、生息環境の消失や異常気象など、問題はまだ多く残されていますが、必ずよみがえってくる自然の力を信じて、取り組みの結果に注目したいと思います。がんばれ、サイガ!(広報担当:三間)