よみがえれ、サイガ!


カザフスタンのサイガが増えた!という記事が先月、ナショナルジオグラフィックのDaily Newsで紹介されていました。

サイガというのは、カザフスタンやモンゴルなどのステップ(乾燥した草原)などに、群で生息しているウシ科の動物です(ちなみにサイとは全く関係ありません)。

鼻の部分が妙に膨らんだ、面白い顔が特徴ですが、これは吸い込む空気を暖め、ホコリなどを除去するための器官とのこと。
冬には氷点下十数度にもなる中央アジアの平原で、何万年も生き続けてきた野生動物ならではの顔?です。

このサイガ、1990年代の初め頃までは数十万頭が生息していたといわれます。それが、漢方薬の原料になる角を狙った乱獲により、絶滅が心配されるほどまでに激減しました。(角をもつオスの写真がないのが残念ですが・・・)

特に、カザフスタンを含む中央アジアの旧ソ連地域では、ソ連崩壊後、社会や経済の混乱のあおりを受けて、密猟が横行したようです。

結果、サイガはIUCN(国際自然保護連合)の『レッドリスト』で絶滅寸前のランクである「CR(近絶滅種)」にランクされるほどの危機に追い込まれました。

しかしその後、サイガの生息国では、研究者や政府関係者、自然保護団体のメンバーらによる懸命な保護活動が行なわれ、その数を回復。近年は増加の傾向が顕著になっているとのことです。

カザフスタンと並ぶサイガの重要な生息地が残るモンゴルでは、WWFもその調査や保護に携わってきました。

密猟のみならず、生息環境の消失や異常気象など、問題はまだ多く残されていますが、必ずよみがえってくる自然の力を信じて、取り組みの結果に注目したいと思います。がんばれ、サイガ!(広報担当:三間)

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

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