科学的な報告書の裏にある「人」の声
2014/03/28
先日横浜で、白神山地に50年以上住んでいらっしゃる元マタギの方をお招きして、お話を伺うセミナーを開催しました。
白神山地には日本を代表するブナの森が広がり、世界自然遺産として、また映画『もののけ姫』の舞台となったことでも知られています。
クマなど多くの野生動物をはじめ、海の生態系をも育むブナの森と、そこに共生してきたマタギの人々の深い知恵。そして、温暖化によると考えられる近年の森の変化についてのお話は、私も本当に胸に響きました。
このブナは温暖化に弱く、環境省の報告でも、今まま温室効果ガスの排出が続けば、21世紀末には日本のブナの生育地の80%が失われると予想しています。
今、横浜ではIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の会議が開かれており、31日には世界の「温暖化の影響」についての新しい報告書が発表されます。
科学の報告書というと得てして「洪水のリスクが●●%も高まる、熱中症の死亡者数が●%上がる確率が●%」といった数字の羅列になりがちですが、こうした数字の裏には今回、白神山地の今を語ってくださったマタギの方のように、現実に温暖化の影響を感じている方の姿があります。
今回のセミナーは、私たち日本人が古くから抱いてきた自然への畏敬の念と、科学的な報告の裏に隠れた現場の人の声を聞く、本当にいい機会となりました。
このセミナーの模様は動画でもご覧いただけます。セミナーの最後にはマタギの方が持参された朴葉のおにぎりで盛り上がる会場の様子も!よろしければぜひご覧ください。(温暖化担当:小西)
【USTREAMのサイト】
- ※こちらは海外メディアが参加して英語で行なった同じ内容のセミナーです。質問も多く、海外の方を通した日本を見ることができます。
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