オンラインでの野生生物取引、違法行為発覚!


2月16日、京都で野生生物製品を不正に取引した容疑で、古美術商とその法人が書類送検されたとの報道がありました。

「種の保存法」で売買が規制されている、トラなど絶滅のおそれのある動物の身体を使った製品を、インターネットオークションに出品したことが理由です。

日本では今、ネットオークションをはじめ、オンラインでの取引が急増。

ユーザーも用途も多様化していますが、このネットを介して行なわれる取引される物の中には、今回の野生生物製品のような違法な物までもが紛れ込んでいます。

政府が行なうべき法律の整備も実情に追いついておらず、規制で守られているものはごく一部に過ぎません。

そうした状況の中、現状での取り締まりは、オンライン取引のプラットフォームを提供している各社の努力が頼み。

2017年12月にはセンザンコウの剥製を出品した男女が書類送検されました。センザンコウは2017年1月から日本でも国内取引が規制されています。

ですが、メルカリや楽天といった一部の企業は、自主的な規制に先行して取り組んでいるものの、日本のネット業界全体でみると、意識はまだ高いとは言えません。

実際、こうしたインターネットでの取引は、違法取引の摘発事例が続く象牙や、象牙で作られたアクセサリーなどの製品の売買でも使われており、ここで入手された象牙が、日本から海外へ違法に流出している事例も確認されています。

日本としては、政府が主導して法制度の整備を進めることが必要な一方、一般の消費者もまた厳しい目を持ってオンラインサービスを利用し、出品者や企業の意識を変えてゆかねばなりません。

トラの爪。こうした希少な野生動物は、身体の一部であっても、取引が規制されている例があります。

まずは今回、京都で起きた違法行為の背景が明らかになり、今後の改善に反映されるように。

私たちも引き続き、取引の実態調査を続けながら、行政や関連企業とも協力して対策強化を促していきたいと思います。(トラフィック 西野)

関連情報

全形を保持した象牙を国内で取引する場合も、法的な手続きが必要です。

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自然保護室(野生生物 グループ長)、TRAFFIC
西野 亮子

学士(芸術文化)
2009年よりTRAFFICにて広報分野を中心に従事し、イベント運営、出版物作成などワシントン条約に関する普及啓発に努める。2016年からは重点種(特に注力すべき種)プログラム推進に携わり、取引を中心とした現状調査を担当。2018年以降は、関係する行政機関や企業へ働きかけ、取り組み促進を促す活動に従事し、野生生物の違法取引(IWT)の撲滅、持続可能ではない野生生物取引削減を目指す。ワシントン条約第70回常設委員会参加。東京都象牙取引規制に関する有識者会議委員(2022年3月終了)

「野生生物を守る」ことを起点に、そこに暮らす人、その場所の環境、そして利用する側の意識、すべての段階で取り組みが必要です。生息地から市場まで、それらを繋ぐことが私の役割です。

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