©Asami Yamamoto/WWF Japan

恐怖体験!?海の「幽霊〇〇」。


梅雨が明けた途端に猛烈に暑い日が続いておりますが、今日は“幽霊”と名の付く少しひんやりとする話題を。

ここのところ、魚網に絡まった海洋生物をダイバーが救出したというニュースを続けて目にすることがありました。

これは、水中に流出・廃棄・投棄された魚網や針などの漁具によって、意図せず長期間にわたって水生生物 が絡まるなどの危害を与えている「幽霊漁業/ゴーストフィッシング」と呼ばれているものです。

漂着した魚網に絡まったペットボトルや櫛(!)、魚網の浮子などを取り除き分別するという気の遠くなるような作業をされていました。
©Asami Yamamoto/WWF Japan

漂着した魚網に絡まったペットボトルや櫛(!)、魚網の浮子などを取り除き分別するという気の遠くなるような作業をされていました。

そんな中、先日旅行で伊豆大島を訪れた際に、このゴーストフィッシングの被害にあった2匹のアオウミガメの話を伊豆大島ダイビングショップシーサウンドの小川さんから聞きました。

なんと、力自慢の男性ガイドさんたちが海から引き上げるだけでも精一杯の3m近い大きさの魚網の塊に、体長1mを超える大きさのアオウミガメが2匹絡まっていたとのことです。

救助の様子。魚網には生き物の骨のようなものも絡まっていたそうです…。

救助の様子。魚網には生き物の骨のようなものも絡まっていたそうです…。

懸命の救助の後、無事に海へ戻してあげることが出来たのですが、残念ながらうち1匹は片手に酷い傷を負っていたようです。

救助に携わった小川さんは、
「海岸には同じくらいの規模の魚網や大量の漂着ごみが常に打ちあがっています。不本意な落とし物なのかもしれませんが、海に棲む生き物たちの脅威になっていることは間違いないです。皮肉にも漂着ごみに身を隠す生き物もいて、なんだか複雑な気持ちでもあります(苦笑)」
と、お話しくださいました。

アオウミガメを救出後に魚網を浜へ移動させている様子。浮子にはムール貝が付着しており、しばらく海を漂っていたことがわかります。

アオウミガメを救出後に魚網を浜へ移動させている様子。浮子にはムール貝が付着しており、しばらく海を漂っていたことがわかります。

漁具の多くはプラスチック製です。
海中に放置された漁具は非常に長期間にわたりゴーストフィッシングの温床となるだけではなく、やがてはマイクロプラスチックとなり、食物連鎖の過程で私たちも摂取することになる可能性があります。

海洋プラスチック問題は実際に身近で起こっているのだということ知って頂き、WWFが世界で行っている、政策決定者へプラスチック問題の解決をもとめるオンライン署名にもご協力を頂けたらうれしいです!(広報担当 山本)

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WWFジャパン ブランド・コミュニケーション室 メディア グループ長
山本 亜沙美

大学時代の専攻していた海洋生物学をきっかけに、絶滅危惧種や環境保全活動に興味を持ち始める。2005年卒業後、米セントラルフロリダ大学院にて生物学を学び、2007年に卒業。卒業後、航空会社にて運行管理のオペレーション業務に携わった後、2010年にWWFジャパン自然保護室アシスタントとして入局。2013年より広報・プレス担当として、取材対応、記者発表などをはじめとしたメディアリレーション、イベント企画・運営などに携わる。2018年7月からメディアグループ長として、広報全般・WWFジャパンのブランドコミュニケーションを担当する。

海洋生物学が専門のリケジョな広報プレス担当です。人の心に響くものはいつの時代も変わらずですが、今は伝える手法が多様化しつつあります。情報のトレンドを追いかけ、常に一歩引いた視点で物事を見るように心がけています。休みがあればスクーバ&スキンダイビングをしにどこかの島に行っています♪

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