シャゴマ?パーマ?謎の生きもの


こんにちは、海洋担当の前川です。
先日、震災支援金を茨城県鹿嶋漁協と大洗漁協へお渡しに行った際に、こんなお話を聞きました。「魚網にからむ謎の生き物がいて、建網を掃除するのが大変だ」というのです。

茨城県では現在、原発事故の影響で、操業を中止しているコウナゴやシラス漁に代わって、刺し網の一種「建網(たてあみ)」漁が主流となっています。

この網に絡まる生物とは!?
植物のようだが、よく見ると動いており、動物らしい。見た目はくしゃくしゃで、40度くらいのお湯を使わないと、網からうまく外れないとのこと。

鹿嶋では「パーマ」、大洗では「シャゴマ」と呼ばれていますが、インターネットでしらべても、そのような名前の生き物は確認できません。

しかし、網を片付け終わった現場で、ついにその正体を確認することができました。ウミシダです。ダイビングをされる方はご存じかもしれませんが、海藻のように見えて実はヒトデの仲間(棘皮動物)。

絡み合う腕の中心には、ヒトデと同様、口を確認できます。普段は岩などにくっつき、波に揺られているウミシダはまさに海藻そのものですが、腕を巧みに動かし、泳ぎ回ることもあるようです。

ところで、大洗で使われる「シャゴマ」という別称、インターネットで調べてみると髪結いに使われる羽根飾りが出てきます。ウミシダの腕を羽根飾りに見立てたのでしょうか。
とすると、鹿嶋の「パーマ」という別称はまさにパーマヘアーのことかもしれません。

網に絡みついたくしゃくしゃの状況をヘアースタイルに例えたのでしょうか。
茨城で出会った謎の生き物、地域によって名称が違いますが、どちらも髪つながりというのは、おもしろい偶然ですね。

ウミシダ

網に絡まっていた「謎の生き物」う~ん、なかなか…

ウミシダ

真ん中に口があります

ウミシダ

海の中での様子(この写真は石垣島で撮りました)

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自然保護室(海洋水産 グループ長)
前川 聡

修士(動物学・北海道大学)
渡り性水鳥の全国調査および国際保全プログラムのコーディネーター業務、WWFサンゴ礁保護研究センター(沖縄県石垣島)での住民参加型の環境調査および普及啓発業務、海洋保護区の設定および管理状況の評価業務等に従事後、2011年より東日本大震災復興支援プロジェクトと水産エコラベルの普及および取得支援に携わる。養殖業成長産業化推進協議会委員。

日本各地の漁師町を訪ねては、持続的な養殖や漁業の推進のために関係者の方々と話し合いをしています。道すがら、普段はなかなか見ることができない風景や鳥を見つけては、一人ほくそえんでいます。もちろん、新鮮な魚介とお酒も! 健康診断の数値が気になるAround Fifty

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