COP21会場より 「パリ合意」の最終合意をめざして


フランスのパリより、温暖化担当の小西です。

こちらで開かれている国連の温暖化会議「COP21」では、10日の夜9時に公表された「パリ合意」の文書草案をめぐる交渉が、日に夜を継いで続けられています。

世界の新しい温暖化防止のためのルールとなる、この「パリ合意」。

予想通り会議は難航し、11日(金)の夕方6時をめざしていた合意の採択は、翌12日(土)に延期されました。

これまでの交渉で、「パリ協定」は、法的な拘束力をもつことが決まりました。

また、危険な気候変動を防ぐための長期目標として、「産業革命からの世界の平均気温の上昇を2度を十分下回ることを目的とし、1.5度未満に抑える努力をする」という世界共通の目的も、この段階の草案には明示されています。

そして、その目的を達成するため、すべての国が5年ごとに削減目標を提出して見直していきながら、達成努力を行なうことになる見通しです。

すなわち、「パリ協定」は、石油や石炭といった化石燃料の時代に終わりをつげ、風力や太陽光といった再生可能エネルギーなど炭素を出さないエネルギーの時代の到来を告げる、歴史の転換点となるでしょう。

今進められている合意文書の作成は、新しい歴史の創造なのです。

よりよい合意を求めて、会場内に設営されたエッフェル塔は、参加者が持ち寄った未来へのメッセージで彩られました。最終日となる12日(土)には、パリ市内でCOP21の成功を求めるパレードも計画されています。

自国政府により厳しい削減目標の設定を求めるニュージランドの若者たち

削減努力や資金拠出をどう分担するか。途上国の緩和や適応に必要な支援の問題など、いまだ解決をみない争点についての議論が続いています。

けれども、その課題を乗り超えなければ、地球温暖化を防ぐことはできません。各国政府の代表団、国際社会のリーダーたちには、残された時間のなかで、対立を信頼に変える努力が求められています。

議長が合意採択の木槌を振り下ろすとき、COP21が終わり、新しい時代の幕が開きます。

パリに集ったすべての参加者たちは、その歴史の転換点に立ち会おうとしています。

現在のところ、COPのファビウス議長は、12日(土)の朝9時に最終的な草案を発表し、午後2時に採択するスケジュジュールを示しています。

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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