鮭の日に考える日本の食とチリの海
2024/11/11
今日、11月11日は「鮭の日」です。
漢字の鮭の右側のつくり「圭」を分解すると、十一十一(じゅういちじゅういち)となることが由来となっているそうです。
朝食やお弁当でもお馴染みの焼き鮭、コンビニのおにぎりで定番の鮭おにぎり、寿司ネタとして人気のサーモン。
そんな身近な存在で親しみ深いサケ(サーモン)ですが、その消費を支えているのが、日本のサケ・マス類の輸入量の約6割を占める、南米チリで生産された養殖サーモンです。
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チリの加工場を訪問した際にいただいたサーモンの刺身
チリでのサーモン養殖は、実は50年ほど前に日本の技術支援などもあって始まり、今ではチリの経済だけでなく、日本の食を支える一大産業にまで成長しています。
しかしこうした成長に伴う生産量の拡大は、チリの生物多様性が豊かな海や、そこに息づく生きものの命を脅かすことにもつながっています。
さらに、海域の利用などをめぐって、養殖企業と先住民や地域住民との対立も起きています。
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チリのサーモン養殖場。こうした養殖場が、チリ南部パタゴニア地域の沿岸域に数多く広がっています。
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世界でチリの沿岸域にのみ生息する固有種のチリイルカ。サーモン養殖場の獣害対策用の網にかかり、怪我をしたり命を落としてしまうこともあります。
こうした課題に対処するための手段のひとつが、環境や人権に配慮した厳しい基準を満たす「ASC認証」の取得です。
私たちも現地の養殖企業やサーモンを調達する日本企業に働きかけを行なってきました。
こうした取り組みにより、2022年にはチリのサーモン養殖生産量の約30%がASC認証を取得したものになっています。
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ASC認証ロゴを付けて販売されるチリ産ギンザケ。ASC認証を取得するには、養殖場周辺の環境と生物多様性を保つことや、地域住民との協議を通じて海や自然資源の円滑な共同利用を図ることなどが求められます。
ASC認証が拡大する一方、サーモン養殖による環境への負荷などを詳しく調査し、持続可能なかたちで海や自然資源を利用していくことが重要となっており、私たちもそのための取り組みを進めています。
皆さんも、ぜひ今日の鮭の日に、私たちの食を支えるチリの海や生きものに思いを巡らせてみていただければと思います。(海洋水産グループ 吉田)