© H. Sakuma / WWF Japan

【動画あり】「世界渡り鳥の日」~モンゴルでのマナヅル保全活動


10月12日は、国連が定める「世界渡り鳥の日」。

渡り鳥とその生息地を世界的規模で保全していく日として、毎年5月と10月の第2土曜日に指定されています。

そんな渡り鳥たちに先日、モンゴルまで会いに行ってきました。
私たちはモンゴル東部で今、WWFモンゴルと共に、日本にも毎年飛来する渡り鳥、絶滅危惧種マナヅルの保全活動に取り組んでいます。

マナヅルの繁殖地は、ロシア、中国、モンゴルにまたがるアムール川(黒竜江)流域とその周辺に広がる湿地や湿った草原です。
© Staffan Widstrand / Wild Wonders of China / WWF

マナヅルの繁殖地は、ロシア、中国、モンゴルにまたがるアムール川(黒竜江)流域とその周辺に広がる湿地や湿った草原です。

日本でマナヅルが見られる季節は冬ですが、モンゴルで見られるのは夏の繁殖期。広大なモンゴルの湿地帯で、ツルたちは巣をつくり、ヒナを育てます。

私たちが訪れた9月半ばは、もう子育てのシーズンを終え、「渡り」の旅が始まろうとする時期でした。

ヒナたちもすっかり飛べるまでに育っていましたが、現地ではさまざまな脅威がマナヅルに迫っています。

家畜の過剰な放牧が、湿地の自然環境に影響を及ぼしているのです。

マナヅルが営巣するエリアにも、飲み水を求めて家畜が侵入し、巣や卵が壊されたり、放し飼いの牧羊犬などが、卵を食べてしまう問題が発生。

生まれる前の段階から、さまざまな脅威にさらされているのです。

そんなマナヅルの繁殖の困難を撮影した動画がこちらです。

これは今年5月に、繁殖地のひとつ、東モンゴルのヘンティー県で、WWFが設置した6台の調査用自動カメラ(カメラトラップ)などを使い、撮影したものです。

WWFは現在、地元のエコクラブの子どもたちとも協力し、生息地である湿地の重要性を、地域の遊牧民の方々に伝えながら、保全活動に取り組んでいます。

大事なことは、健全な水を育む湿地の保全は、ツルなどの野生動物だけでなく、地域の暮らしにも欠かせない、重要な意味を持っている、ということ。

エコクラブの子どもたちも、キャンペーンや観察会を通じて、このメッセージを皆さんに伝えてくれています。

これからも、WWFモンゴルの仲間たちと協力しながら、地域の方々との連携のもと、マナヅルの継続的な調査と保全活動を推進していきます。

この冬、日本でも元気なマナヅルたちに出会えますように!

湿地で水を飲む家畜。健全な水は放牧にも欠かせません。WWFは、放牧を行なっている地域の方々と話し合い、家畜をツルの繁殖エリアから遠ざける、また放牧時以外は犬の行動を制限する、といった取り組みも推進しています。
© WWF Japan

湿地で水を飲む家畜。健全な水は放牧にも欠かせません。WWFは、放牧を行なっている地域の方々と話し合い、家畜をツルの繁殖エリアから遠ざける、また放牧時以外は犬の行動を制限する、といった取り組みも推進しています。

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自然保護室(淡水グループ)
羽尾 芽生

大学卒業後、官公庁に入省し、安全保障、国際交流、先端技術等に関する業務に約7年間従事。 2023年より現職。農産物の生産や精密機器等の製造過程で利用される「水」に着目し、日本が関連する海外フィールドでの責任ある水利用管理やコレクティブアクション(流域でのステークホルダー間の協同活動)を主に担当。

自分は何のために生きているのか。よく自問しますが、たぶん、特別な意味も使命もなく、偶然生きています。地球の育む豊かな自然、そして、たくさんの人々に支えられて、なんとか生きてこれました。 地球の未来とそこにくらす生きもの(人々)の未来に、ほんの微力であっても恩返ししたいです。 まずは目の前の活動を丹念に精一杯やる、そこからが第一歩!

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