© WWF / Clive Tesar

クジラたちに、静かな海を


私たち人間が車や飛行機、工事など様々な騒音に悩まされるように、

クジラたちも人間の活動がもたらす騒音に影響を受けています。

気候変動による北極圏の海氷の減少にともに、船舶の行き来や海底資源の開発が活発になりました。それにより近年、北極の海の中が「うるさく」なっているのです。

春や秋に食べ物を求め北極の海に移動するホッキョククジラやナガスクジラ、ベルーガといったクジラたちは、水中を遠くまで伝わる音を用いて仲間同士でコミュニケーションをとります。

© naturepl.com  / Sue Flood / WWF

しかし、海の中の騒音によりコミュニケ―ションが阻まれると、クジラたちは食べ物探しや繁殖活動、仲間同士での位置情報の共有などが上手くできなくなってしまいます。

現在、WWFでは北極海に面する国々のオフィスが一丸となり、最先端技術を用いた音響解析や、政府・企業への働きかけ、船舶運航ガイドラインの制定などを通して、クジラたちが安心して暮らせる静かな海を守ろうとしています。

© naturepl.com / Doug Allan / WWF

海氷の間を通過するベルーガの群れ

遠い北極の海ですが、船舶で運ばれる物資や海底からもたらされる資源の恩恵を受ける私たちも、この問題と無関係ではありません。クジラたちを悩ませる騒音問題に、ぜひ関心を持ってみてください。

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自然保護室(環境・サステナビリティリーダ開発グループ)
松井 日奈子

修士(社会科学) 東京外国語大学を卒業後、フィンランド トゥルク大学にて文化人類学を専攻し、修士号を取得。学部生時代に複数の国際交流事業の企画運営をしていた経験が生き、現地自治体の気候変動対策チームにて環境教育プログラムの立ち上げやサーキュラーエコノミーをテーマにした学生派遣事業に携わる。帰国後、2024年にWWFジャパンに入局。教育担当として、次世代環境リーダー育成プログラムに関する業務に従事。

ユースは未来そのもの。 環境課題はもちろん、それらと密接に関わる人権・ジェンダー・文化多様性等にも想像力を持つ次世代育成の一助となれればと思っています。冬が好きで、旅行先は寒いところを選びがち。北欧ラップランドの荘厳な自然の大ファンです。

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環境保全団体です。

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