クジラたちに、静かな海を
2024/09/19
私たち人間が車や飛行機、工事など様々な騒音に悩まされるように、
クジラたちも人間の活動がもたらす騒音に影響を受けています。
気候変動による北極圏の海氷の減少にともに、船舶の行き来や海底資源の開発が活発になりました。それにより近年、北極の海の中が「うるさく」なっているのです。
春や秋に食べ物を求め北極の海に移動するホッキョククジラやナガスクジラ、ベルーガといったクジラたちは、水中を遠くまで伝わる音を用いて仲間同士でコミュニケーションをとります。
しかし、海の中の騒音によりコミュニケ―ションが阻まれると、クジラたちは食べ物探しや繁殖活動、仲間同士での位置情報の共有などが上手くできなくなってしまいます。
現在、WWFでは北極海に面する国々のオフィスが一丸となり、最先端技術を用いた音響解析や、政府・企業への働きかけ、船舶運航ガイドラインの制定などを通して、クジラたちが安心して暮らせる静かな海を守ろうとしています。
遠い北極の海ですが、船舶で運ばれる物資や海底からもたらされる資源の恩恵を受ける私たちも、この問題と無関係ではありません。クジラたちを悩ませる騒音問題に、ぜひ関心を持ってみてください。