拡大する洋上風力発電に国内鉄鋼業が活躍する未来! JFEエンジニアリングのモノパイル式新工場
2023/11/30
脱炭素化の世界的競争の中で、日本も再エネ、中でも洋上風力発電の開発に官民を挙げて取り組み、国内産業が活気づいています。国内で初めて、洋上風力の基礎部分となるモノパイル式基礎を製造する工場を新設されたJFEグループの西日本製鉄所を訪問してきました。そこはわくわくする未来を作る活気ある現場でした!
日本の風力産業は、少し前に3つの風車メーカーが順次撤退したことにより、日本から風車メーカーはなくなっています。しかしどんどん巨大化する洋上風車の多くの大型部品は、実は鉄鋼、鋳造品であり、大型だからこそなるべく近くで(=国内)作って、運び、組み立てることが求められる製造業であり建設・輸送業なのです。そのため国内調達率で60%程度占めることができる有望な国内産業の振興策なのです!
その中でいち早く風車のモノパイル式基礎の工場を新設することを決断されたのが、JFEグループ。モノパイルとは、巨大な洋上風力を支える円筒の軸のこと。12mにもなる直径で、長さ100m、重量にして1400トンという国内に例のない超重量物です。この巨大な円筒を一気に作ることはできないので、巨大な輪をいくつも作って、それを溶接でくっつけて作っていくのですね!
そこで重要となるのが、海水の中で太陽にさらされる厳しい環境下でも持つ堅牢な作り。担い手のJFEエンジニアリングは、これまで明石海峡大橋などの海洋大型建造物を手掛けてこられた実績と高い技術力を持つJFEグループ企業です。初めて洋上風力のモノパイル作りに取り組むのですが、これまでの技術が活かせるということで決断に至ったそうです。工場内の写真はまだ非公開なのですが、中でも最後に輪をつないでいく溶接の技術に高い競争力を持っておられるそうです。
これだけ大型ですから、近接するJFEスチールの製鉄所(倉敷市)でもこれまでの鋼板では間に合わないので、大型化して対応し、材料となる鉄スクラップなどを手掛けるJEF商事もあわせて、JFEグループ3社が協力して当たっています。とにかく大規模で大型ということで、実は工場敷地もこれまでにない広さが必要ですが、この広大な西日本製鉄所ではそれが可能だったのです。これから飛躍的な拡大が見込まれる洋上風力ですから、JFEグループ内の決断も早かったとのこと!その果敢な投資判断と挑戦心に感動しました。
広大な西日本製鉄所(福山地区)は、広島県福山市と岡山県笠岡市にまたがっており、製鉄所の大半は福山市にあります。しかし今回のモノパイル新工場は、笠岡市に位置することになり、岡山県も笠岡市もJFEグループ半世紀ぶりの400億円かけての新工場の建設に大喜びだったそうです!地域の経済と雇用を支える基幹産業の存在感を感じ入りました。
JFEエンジニアリング洋上風力PJチーム建設工事事務所長の佐藤哲也氏は、「脱炭素で発電の仕組みを変えていこうという中で、弊社が洋上風力発電市場へ参画できるのは誇りです。現在プロジェクトに従事する約300人も、気概をもって臨んでいます」と顔を輝かせてお話しになり、私も胸がいっぱいになりました。工場の完成は2024年とのこと、ぜひとも国内の多くの洋上風力、そしてアジアの洋上風力の基礎として巣立っていってほしいです!!
日本の再エネの柱ともなる洋上風力発電に、国内勢が活躍する未来に夢膨らみます。詳しくはぜひJFEグループ訪問記をご覧ください。