ミゾゴイの絵と里山の森


草刈です。
昨年から取り組んでいる、石川県の能登半島に位置する輪島市の里山の保全活動。

生物相が豊かな里山を開発し、産廃処分場を建設しようというこの問題には、県外からも注目が集まっています。

里山とは昔、人が燃料の薪(まき)などを採るため伐採し、管理していた「二次林」です。

こう書くと、人の手の入っていない原生の森より見劣りするようにも見えますが、そうではありません。

能登半島に残る里山の景色

人が手入れした、林床まで光の届く明るい森には、さまざまな植物が育ち、それを食物にする動物が集まってきます。

こうした変化に富む里山や里地、二次林など「二次的自然環境」に適応し、すみかとする野生動物は、実は数多くいるのです。

しかし里山を取り巻く状況は深刻です。

先月、閣議決定された「種の保存法」による「希少野生動植物種保存基本方針」でも「野生動植物の種を圧迫している主な要因」の一つに「里地里山などの利用・管理の不足による生息・生育環境の悪化」が挙げられました。

こちらはフクロウ。フクロウのような猛禽がネズミなどを狩るのも、見通しの効く開けた二次林です。

実際、里山に生きる動物も、一部が国際的な絶滅危機種に指定されるまでになっています。

その代表が、里山に巣を作るミゾゴイです。

開発予定のある輪島市の里山でも、ひっそりとつつましく生きるこの鳥が繁殖している可能性が高いと見られ、地元からは保全を求める声が上がっています。

そんな中、輪島市の市民の皆さんが、里山の保護活動を訴えるポスターを作りました。

主役を張っているのは、もちろんミゾゴイ。

動物画家で私の長年の友人でもある桑島正充さんが、里山の森と、この鳥に手向けた強い思いが伝わってくるようです。

貴重な自然を次世代に引き継ぐためのメッセージを、これからも伝えてゆきたいと思います。

ポスターになったミゾゴイの絵。夏だけ日本に渡ってくる渡り鳥です。水鳥のサギの仲間ですが、主食はミミズなどの小動物。まさに里山の鳥です。(画、桑島正充)

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自然保護室 国内グループ所属
草刈 秀紀

日本の自然保護にかかわる法制度の改善をめざす取り組みを行なっています。

子どもの頃から動物が好きで、農業者でもないのに農業高校の畜産科に行き、上京して大学時代に多くの自然団体の会員になりました。野生のエルザのゲームワーデンにあこがれ、32年前に職員になりました。最近は、永田町を徘徊しています。

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生きられる未来を目指して

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