産廃処分場の許可取り消しとミゾゴイの森の保全を要請
2018/01/22
国際的にも絶滅が懸念される希少鳥類のミゾゴイなど、貴重な野生生物が息づく石川県輪島市の里山で今、産業廃棄物の処分場が建設されようとしています。この問題について、WWFは2018年1月22日、5つの自然保護団体と共に、県知事に対し建設許可を取り消し、地域一帯の自然環境の重要さを認識して、その保全を推進するよう強く要望しました。
国内有数の貴重な自然が残る里山で
豊かな里山の景観が今も残る、石川県輪島市。
そこには、日本でのみ繁殖する国際的な絶滅危惧種ミゾゴイをはじめ、サンコウチョウやミサゴ、ハチクマ、サシバなどの鳥類が生息する、国内でも有数の貴重な自然が残ります。
また、こうした鳥類の存在は、その食物となるカエルやヘビ、魚類、昆虫類といった、さまざまな野生生物が、高い密度で生息していることの証でもあります。
しかし現在、同市門前町の大釜では、産業廃棄物処分場の建設事業(門前クリーンパーク建設事業)が計画されており、これによる貴重な生態系への悪影響が懸念されています。
特に、予定地の一帯には、ケヤキやスダジイ、ホオノキ等の広葉樹の巨木に覆われた湿潤な谷地が広がり、世界に2,000羽以下とも言われるミゾゴイの繁殖に、欠かせない生息環境と考えられています。
そのため、WWFジャパンなど国内の自然保護団体は、2017年8月17日、石川県に対し事業を認可せず、貴重な自然を守るよう強く求める要望を行ない、さらに11月14日には、地元の自然保護団体からも、保全の要望が出されていました。
輪島市の産業廃棄物処分場の建設許可取消を
しかし、石川県知事は2017年11月28日、門前クリーンパークの建設事業を許可。
この許可は、石川県廃棄物処理施設専門委員会が2017年11月21日に出した、自然環境について「適正な配慮がなされている」という結論に基づいたものとされますが、各団体が要望の中で指摘した懸念点やその対応については考慮されておらず、自然保護の視点として、適正な配慮がされたとは言えません。
そこで、2018年1月22日、WWFジャパンは、日本自然保護協会、日本野鳥の会は、石川県知事に対し、あらためて建設事業の許可取消を求めました。
この日、県庁にて手交された要望書は、上記3団体に加え地元でその景観の保全を求め活動を行なっている、日本鳥類保護連盟石川県支部、日本野鳥の会石川、森の都愛鳥会の計6団体の連名によるものです。
能登半島が、世界から評価された豊かな生物多様性を有する場所であることは、本事業の環境影響評価の手続きの中でも明らかにされており、日本がその財産として、未来にのこしていくことが求められます。
WWFジャパンは、長期的かつ国際的な視点からも、門前クリーンパーク建設事業の許可を取り消すことを強く要望します。