エキスパートに学ぶ、サイ調査のいろは
2015/01/08
こんにちは、自然保護室の小林です。
20年ぶりに生存が確認された"幻のサイ"スマトラサイが暮らすボルネオ島の森を、先日、訪れました。
するとそこには、なじみのある面々に混じって、WWFインドネシアのサイのエキスパート、イワンの顔が。
彼はふだん、ジャワサイの聖地と言われるジャワ島のウジュンクーロン国立公園で保護活動にあたっていますが、この時はスマトラサイ調査に合流していました。
彼に案内され歩を進めると、そこには、ぬかるみに残った幅20㎝ほどの足跡が!
3つの爪痕から、スマトラサイのものであるのは明らかです。
まさか、自分の目でスマトラサイが生きているその証を目の当たりにできるとは思いもしなかった私の興奮は、言うまでもありません。
足跡はスマトラサイの年齢や性別を推測する貴重な情報源です。
イワンによれば、幼い子連れの母親の場合、自らは後ろを歩き、前を行く子どもの足跡に自らの足跡を重ねることで、子の存在を悟られないようにすることもあるんだそう。
次に彼は、ねじ曲げられた細い木の枝を指さしながら、サイが木の皮を食べようとした痕だと教えてくれました。
このような食べ方をするのは、世界に生きる5種のサイの中でスマトラサイだけだといいます。
スマトラサイは口が小さいため、幹をひねって皮をはがすことで食べやすくしているとか。
アフリカのサバンナに生きるクロサイやシロサイと違い、熱帯林に生息するアジアのサイは、姿を確認することさえ難しく、その生態はいまだ多くが謎に包まれています。
WWFは、こういった地道な観察を重ね、食性などのデータをまとめることで、世界に残りわずか300頭といわれるスマトラサイの国際的な保護活動に寄与したいと考えています。