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サンゴの白化とわたしたちにできること


2022年の夏は高温が続き、サンゴにも厳しい夏となっています。
沖縄を中心とする南西諸島でも、サンゴの白化が多数報告されており、全国的な報道でも取り上げられました。
サンゴの白化は、多くの場合、海水の高水温が継続することが引き金となって起こるとされ、その防除のためには、気候変動の抑制が不可欠です。
2016年の世界的な大規模白化現象では、日本最大のサンゴ礁である石西礁湖の実に9割のサンゴが白化、その多くが死滅する等、非常に大きな影響があり、その影響の大きさと、気候変動への対策の重要性を再認識させる大きな出来事となりました。

サンゴの白化。一見美しく見えるが、サンゴが弱っている状態。
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サンゴの白化。一見美しく見えるが、サンゴが弱っている状態。

高水温がよく要因として語られる白化現象ですが、気候変動への対策だけではなく、実は海水の栄養塩等の成分のバランス等「健全な」海の環境が保つことが重要と言われています。
一時的に白化した個体でも、早期に海水温が下がれば、再び健康な状態に戻ることが可能です。ですが、赤土や栄養塩の流入などによって、水質の悪化が進んでしまうと、こうした回復が遅くなったり、出来なくなったりする可能性が専門家から指摘されています。

そのため、サンゴの保全のためには、世界的な気候変動への対策が重要なことはもちろん、サンゴとともに暮らす地域の方々の赤土や栄養塩の流出防止、適切な利用など、常日頃の負荷の低減の取り組みが欠かせません。

月桃のグリーンベルト。畑地からの赤土流出防止の取り組みの一つ。
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月桃のグリーンベルト。畑地からの赤土流出防止の取り組みの一つ。

石垣島では、特定非営利活動法人石西礁湖サンゴ礁基金が、多くの関係者のサンゴ礁保全のための取り組みを応援する仕組みとして、「八重山うみしまフレンドシップ」の取り組みを進めています。
こうした活動を通して、サンゴに関わるできる限り多くの方が、その保全の取り組みに参加していただくことが不可欠です。

白化してしまったサンゴたちが、健康な姿に戻ることを祈りながら、私たちもサンゴが生きていける未来の海を守ることを目指して、取り組みを継続していきます。

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自然保護室(淡水)
小林 俊介

修士(動物学・京都大学)
京都大学在学時にボルネオ島での野生動物の行動学を専攻。ボルネオの豊かな生物層の魅力を知るとともに農園開発などの環境課題の大きさを実感する。2013年にWWFに入局。ボルネオ島での絶滅危惧種保全、持続可能な森林・農園管理、ESDなどの活動を担当。2018年よりサンゴ礁保護研究センター長。サンゴ礁保護研究センターの地元移譲を経て2021年から現在まで淡水グループ繊維担当と、海洋グループ白保担当を兼務。

子供のころからの動物好きが高じて、東南アジアでの野生動物の研究に携わった後、WWFへ。森林、海洋、淡水と様々な分野を担当し、持続可能な資源管理を中心に海外・国内のフィールドにも携わってまいりました。フィールドで豊かな自然とそれを守るために頑張っている仲間たちと交流するのが何よりの楽しみです。

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