ただ今プロポーズ中!!スマトラの森にて【動画あり】
2015/04/24
調査用の自動撮影カメラが捉えた2頭のトラ。口をあけ、歯を見せながら低い声で唸っていますが、険悪な雰囲気ではありません。
それもそのはず、これは交尾前のスマトラトラのペアの映像なのです。
鼻を鳴らしているのは、2頭が出会ったばかりで、関係を築いている兆し。左側のオスが口をあけているのは、口内にもある嗅覚でメスのにおいを嗅ぎ、相手が交尾可能な状態かを確かめているためです。
一方、メスが横たわっているのは、交尾の準備が整っていることを示しています。
この貴重な映像を私が入手したのは、先日、インドネシア、スマトラ島のブキ・バリサン・セラタン国立公園に行った折のことでした。
そもそも、単独行動をするトラの成獣が2頭一緒にいること自体が希なこと。そう、交尾の期間の数日間を除くと、まず無いことなのです。
しかも森の中の、ある地点に固定されたカメラの前で、こんな姿を見せてくれるとは!
WWFのトラの専門家ジョセフ・ヴァタカヴェンも、このような映像を見たのは初めてだ、と驚きを隠しませんでした。
野生のトラは1週間前後、あまり移動も、食物を取ることもせず、交尾を行なうそうです。ジョセフによれば、映像の2頭は4~7才ほどで、もっとも交尾に適した年齢だそう。
トラは妊娠確率が低く、20~40%程度と言われていますが、うまく行けば今後、かわいい仔トラの姿が、カメラに収められるかもしれません。
しかし、密猟の脅威は今も続いています。2014年の1年間にこの国立公園内で回収された罠は80以上。WWFは公園当局と協力しながら、調査とパトロールを継続していきたいと考えています。
生まれてくるかもしれない仔トラたちを守るためにも、ぜひ活動へのご支援をお願いいたします。(自然保護室 川江)