「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」に基づく輸入規制措置の実施について


共同声明:2021年10月25日

  • この声明はIUU漁業対策フォーラムに所属する各団体による共同声明です。このフォーラムにはWWFジャパンもメンバーとして参加しています。

世界の水産資源が長期的な減少傾向にある中、違法・無報告・無規制(IUU)漁業は、⽔産資源の持続可能な利⽤や海洋⽣態系の保全に深刻な影響をもたらすと考えられております。EU、米国に次ぎ世界第三位の水産物輸入額を誇る日本では、輸入水産物の約30%がIUU漁業由来との指摘もあり、IUU漁業は持続可能な水産資源の利用にとって大きな脅威です。IUU漁業は、2015年に国連で採択された持続可能な開発⽬標(SDGs)14.4 において定められている「2020 年までに漁獲を効果的に規制して、乱獲や IUU 漁業および破壊的な漁業慣⾏を撤廃し、科学的情報に基づいた管理計画を実施」することを妨げる⾏為であり、2019年6月開催のG20大阪サミットで採択された首脳宣言にも「IUU漁業に対処する重要性を認識しIUU漁業を終わらせるという我々のコミットメントを再確認する」と明記されています。

こうした中、IUU 漁業による漁獲のおそれが⼤きい⽔産物の輸⼊・流通を防⽌するための特定⽔産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律(以下「水産物流通適正化法」という)が2020年12月に国会で可決・成⽴したことは、⽇本政府による⼤変望ましい動きであり、IUU漁業根絶を目指す多くの国々がその法律の効果に期待しております。この先、2021年末までに政省令が作られ、2022年12月10日までに施行される計画ですが、特に、水産物流通適正化法第2条第4項に規定される特定第二種水産動植物(国際的にIUU漁業のおそれが大きいために輸入規制措置の対象とする魚種)の輸入規制措置の実施に向けたプロセスについて、既存の計画を遅滞なく実施することが非常に重要だとIUU漁業対策フォーラムは考えます。

理由1:IUU漁業由来水産物の輸入防止は、⽔産物輸⼊⼤国としての日本の責任を果たすものです。⽔産物の三⼤輸⼊市場のうち既に規制を導⼊している EU、⽶国に加え、新たに⽇本がIUU 漁業に由来する⽔産物の輸⼊の禁⽌を措置することにより、世界におけるIUU 漁業根絶に向けた⼤きな前進となると考えられます。

理由2:IUU漁業由来水産物の輸入防止は、国内の水産業を守り成長産業化を支えるものです。現在、⽇本海における近隣諸国からのイカ漁船の違法操業をはじめ、IUU漁業の横行による日本の漁業者への損害が重⼤な懸念となっています。IUU漁業による不公正な競争を排除することは、ルールに従い適正に漁業を⾏う漁業者の、本来得られるはずの適正な収⼊を確保することに結びつきます。

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