日本企業SBT認定・コミットが1000社超え
2024/03/08
SBT認定・コミットする日本企業が1,000社を超える!
科学に基づく気候目標であるSBT
2024年3月、SBT認定取得または取得することを約束(コミット)した日本企業の数が1000社を超えました。
SBT(Science-based Target)は企業が科学に基づいて設定する温室効果ガス(GHG)削減目標のことで、2015年にWWFをはじめとするNGO等により設立された世界的イニシアティブであるSBTi(Science Based Targets Initiative)により審査・認定されており、現在では国際的なデファクトスタンダート(事実上の標準)となっています。
1年弱で2倍に
2023年5月にSBT認定・コミットをした企業は500社を超えたところでしたが、わずか1年足らずでその数は2倍となりました。認定・コミットが100社を超えた2020年6月からの推移をみると、加速度的に数が増えていることがわかります。
日本企業が世界をリード
認定取得した企業とコミットした企業の数を国別にみると、イギリスが1122社で世界1位に。日本は1013社でこれに次ぐ2位、そしてアメリカが931社で3位となっています。
さらに、既に認定を取得した企業数だけでみると、日本が930社で、2位のイギリス(793社)、3位のアメリカ(511社)を上回り、世界で1位となっています。(いずれも2024年3月8日現在の数字)
どのような企業がSBT認定・コミットしているのか?
日経平均株価銘柄の企業の約半数がSBT認定・コミット
日本のSBT認定・コミット企業のうち約280社が大企業(※SBTi区分による)となっています。ここには東証プライム上場企業も多く含まれており、また日経平均株価銘柄の企業の225社のうち110社(約49%)が既に認定取得またはコミットをしています。
セクター別(※SBTiによるセクター区分)にみると、電子機器や機械セクター、建設・エンジニアリングセクター、医薬品・バイオテクノロジーセクターなどの参加が多くなっています。
大企業だけでなく中小企業も大きな伸び
また、この1年の大きな伸びを支えたのは中小企業の認定の伸びです。2023年1月時点で、214社だった中小企業のSBT取得数は、2024年3月8日には728社と、1年強で3倍以上に増えました。
これは、大企業を起点としたサプライチェーン全体での脱炭素が進みつつあることを示しているとも言えます。
一方で、遅れるセクターも
一方で、金融機関の参加は残念ながら非常に少なく、日本企業では1社がコミットをしているのみです。また、GHG排出量が多く脱炭素が難しいとされる鉄鋼や化学セクター、環境フットプリントが大きい大手商社の参加もまだまだ少ない状況です。
認定・コミット数が全体として大きく伸びてきた今、今後の課題はこうした鍵となるセクター・企業のSBT認定取得数を伸ばすことができるかです。
今後も増え続けるSBT
SBTは2030年、2050年への羅針盤
ここまで日本企業がSBT認証取得に邁進するのは、科学に沿った削減活動をしていないと、グローバルなサプライチェーンから外されてしまう、という危機感が背景にあると思われます。
企業にとって、きちんとパリ協定に沿った脱炭素行動をとっていることを対外的に示すには、こうした国際認証を取ることが最も効果的な手法です。そういった意味でも、今後も引き続きSBTの認定取得は増え続けることが想定されます。
2030年、2050年といった中長期的な視野をもって、科学に基づいた気候目標を掲げ、その推進と評価に取り組んでいくこと。SBTiが示すガイダンスは、その羅針盤でもあります。世界全体で1.5度目標を達成するために、SBT認定取得を通じて脱炭素行動を加速させていくことが重要です。