世界初 MSC認証のかつお削りぶしが和食店きじまで提供開始

この記事のポイント
和食に欠かせないかつおぶし。2021年6月8日の「世界海洋デー」から、サステナブルなかつおぶしが、横浜の和食店きじまにて提供されることになりました。このかつおぶしは、持続可能な方法で漁獲されたMSC認証カツオを原料に生産された、世界で初めてのかつおぶしです。SDGs(持続可能な開発目標)にも貢献するこの試みは、カツオ資源だけでなく和食文化も守っていく大きな一歩として注目されています。

世界初 MSCかつおぶしデビュー

2021年6月8日の「世界海洋デー」に、横浜で海鮮・会席料理を扱う株式会社きじまの6店舗で、サステナブルなかつおぶしを使用した和食料理が、世界で初めて登場しました。

このかつおぶしは、持続可能な漁業とシーフードの証である、MSC(海洋管理協議会)の国際認証を受けたかつおぶしです。

和食に欠かせないかつおぶしの原材料であるカツオは、世界中の熱帯~温帯の海で漁獲され、比較的安くヘルシーなタンパク源として世界中で需要が高まっています。

しかし、それにともないカツオの漁獲量も急増(図1)。現在は、資源の減少が危惧されています(図2)。

図1. カツオの漁獲量の推移

図1. カツオの漁獲量の推移

図2. 中西部太平洋におけるカツオ初期資源量(漁業を開始する前の資源量)に対するカツオ資源量の推移(WCPFC2019)<br>漁獲量の増加にしたがって、資源量は過去最低レベルの44%まで低下<br>

図2. 中西部太平洋におけるカツオ初期資源量(漁業を開始する前の資源量)に対するカツオ資源量の推移(WCPFC2019)
漁獲量の増加にしたがって、資源量は過去最低レベルの44%まで低下

また、カツオ漁業では、意図せずに目的以外の魚やウミガメなどを漁獲してしまう「混獲」が深刻な課題になっています。

特に、魚群集魚装置(FADs)を用いたカツオまき網漁では、日本で刺し身マグロとして最も消費されているメバチの幼魚が大量に混獲されており、メバチ資源の減少を引き起こしています。

カツオだけでなく、メバチを守るためにも、生態系に配慮した、持続可能なカツオ漁業への転換が求められています。

企業間の連携が鍵 持続可能なカツオ漁業推進のために必要なこと

WWFジャパンは、2020年より国内のカツオの漁獲・加工・販売状況を調査し、主な国内企業や漁業関係者と、持続可能なカツオの漁業と消費に向けた協議を続けてきました。

その中で明らかになったことは、持続可能な漁業を推進するためには、生産者である漁業者の働きだけでなく、漁獲物を取り扱うマーケット側が、積極的に持続可能な水産物を調達・販売することが重要である、という点でした。

そしてそれをいち早く実現したのが、和食店きじまと「鰹節屋・だし屋」として知られるヤマキとの新たなパートナーシップです。

きじまは、「美味しい和食と豊かな海を、未来もずっと」をスローガンに、これまでも持続可能な水産物を積極的に調達。「和食の根幹でもあるカツオだしについても持続可能なものにしたい」という強い思いを明らかにしてきました。

一方ヤマキは、2018年より、かつおぶし製造から最終製品製造を行なう工場まで一貫したMSCのCoC(流通)認証を取得したサプライチェーンの整備を推進。
持続可能な水産原料調達への貢献を、社としての重要テーマに取り組んできました。

そして、WWFとの協議をきっかけに両者が手をとりあった結果、2021年6月1日、世界で初めてMSC認証を取得した「一本釣り花かつお」の販売が実現。

2021年6月8日からは和食店きじまにおいて、このMSC認証かつおぶしをもちいた料理が提供されることになりました。

SDGsにも貢献!持続可能なカツオ漁業確立に向けた一歩に

日本は、世界第4位のカツオ漁獲国であると同時に、世界のカツオの1割近くを消費する国。その多くはかつおぶしとして消費されています。

その重要なカツオ消費国である日本において、今回のようなMSCかつおぶしが生産、販売されることは、世界のカツオ資源を守ることにつながります。

また、こうした取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)の「12. つくる責任つかう責任」や「14. 海の豊かさを守ろう」や「17.パートナーシップで目標を達成しよう」にも通じるものであり、企業に実現可能なSDGsへの貢献手段を明らかにしたものでもあります。

MSCかつおぶしといったサステナブル・シーフードが、より多く供給されるようになれば、一般の消費者にも選択の幅が広がり、それが世界の海の保全に貢献する機会につながります。

今回、協働した三者は、カツオ資源だけでなく和食文化を守るためにも、今回のような取り組みがきっかけとなって、MSC認証製品が日本の小売企業やレストランに広がり、日本のカツオ漁業の持続可能性が向上することを期待しています。

今後とも今回のような企業間パートナーシップが新たに生まれ持続可能なカツオ漁業が推進されるよう、引き続きWWFは、日本のカツオ産業とともに活動を続けてまいります。

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