日本郵便とWWFジャパンがFSC®普及などにおいてパートナーシップを締結
2022/12/01
FSCの認知拡大を目指して新たな協働のスタート
多くの命を支える森林の保全は、WWFが1961年にスイスで設立された当初から力を注いできた重要な活動の一つです。WWFジャパンとしても、林産物の世界的な一大消費地である日本において、「森林資源の持続可能な利用」の拡大は、世界の森林とその生態系を保全する上で重要と考え、その普及に取り組んできました。
しかし、環境保全団体であるWWFが直接的に森林を所有し、その管理を行うことや、紙をつくることはありません。つまり私たちWWFが掲げる「自然と調和する未来」を実現するためには、関連のビジネスに携わる事業者との協働が欠かせません。
たくさんの紙を必要とし、長い歴史とともに人々の暮らしを支えてきた日本郵便株式会社とのパートナーシップにより、今ある環境課題やその解決策などについても、同社のネットワークを活用し社会に発信してゆけることを期待しています。
本パートナーシップでの協働の内容
(1)自然資源の持続可能な利用
(2)脱炭素社会の実現に向けた貢献
(3)循環型の社会経済システム「サーキュラーエコノミー」の実現に向けた貢献
誰もが参加できる森林保全の仕組み
FSC®(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)は、責任ある森林管理を世界に普及させることを目的に、1994年に設立された国際的な非営利団体です。その認証は、環境保全の点から見て適切で、社会的な利益に適い、経済も継続可能な、責任ある管理をされた森林や、林産物の責任ある調達に対して与えられます。
このFSCのマークが入った製品を買うことで、誰もが世界の森林保全を応援できる仕組みでもあります。
FSC発足から30年近くが経とうする今、世界のFSC認証林面積は約2億ヘクタールを超えて日本の国土の5.5倍近い広さとなり、加工・流通過程の事業者が取得するCoC(Chain of Custody)認証の件数も53,000件以上となっています。日本でのCoC認証件数も2000件を超え、ティッシュやトイレットペーパー、飲料パックや梱包資材などFSCラベル付きの製品を街中で見かけることも珍しくなくなりつつあります。
FSC 発足の背景にあったのは当時頻繁に報告されていた違法伐採などによる自然の森の急速な消失。その後の法規制の強化などにより持続可能な林産物の生産と利用は、ある程度の認知を得たものの、世界の森林がさまざまな要因で今も減少し続けていることは忘れてはならない現実です。
人と自然が調和して生きられる未来を目指して
FSCの利用が拡大しつつある一方で、まだまだ上昇の余地がある認知度。FSCジャパンが2020年に行なった認知度調査では、日本国内のFSC認知度は約20%にとどまっています。
今回の日本郵便株式会社とパートナーシップにより、FSCの認知拡大のための発信を同社のネットワークを活用し広く社会に発信してゆけることを期待しています。