アルパカ!...ではありません
2016/12/29
寒さ厳しいこのシーズン、こんな時期にはふわふわモコモコの皆さんから分けていただいた毛織物のセーターやマフラーが手放せませんね。
町でよく見かけるヒツジ、カシミアやアルパカなどは、その動物を傷つけない方法で毛が収穫されています。
中には、滅多にお目にかかれないものも。
その一例が、アルパカに似た動物のビクーニャです。
ビクーニャは南米に生息するラクダ科の動物で、クリクリした大きい黒い目と長い首、そして、アンデスの高地で寒さから身を守る、驚くほど細く柔らかな毛を持っています。
一頭から採れる毛は多くても200gほどで、かつてはインカの支配者一族のみがその貴重な毛織物を身にまとうことができたとか。
しかし、この毛を目当てにした密猟により、1950年代の40万頭から1960年代には1万頭ほどまで減少。絶滅が危ぶまれました。
そこで、ペルーを中心に保護区の設立や、一時的に国際取引を禁止する取り組みが進められてきました。
特に注目される点は、ビクーニャを傷つけずに毛を採取する伝統技法を、地元の人々が復活させ、保護と地元の利益を両立させたことです。
こうした努力が実を結び、ビクーニャは絶滅の危機から脱することができました。
しかし、国際取引は今も厳しく管理されており、取引できるのは、ビクーニャを殺さずに採取した毛や毛製品に限られています。
そして、そうした製品には原産国の承認を得て、決まったロゴを付けることが義務付けられています。
今年秋のワシントン条約会議(COP17)では、この条件が変更され、原産国がいくつもある場合は、複数のロゴが付くことになりました。
持続可能な証でもあるこうした印にもちゃんと目を向けて、温かさをいただきたいものです。(トラフィック 若尾)