諸葛孔明と外来植物の話
2018/04/21
菜の花の綺麗な季節。
一面黄色に染まった見事な景色が見られる場所もあると思います。
そんな中で、同じような紫色の花がたくさん咲いているのを、ご覧になられたことはおありでしょうか。
よく見ると花は菜の花より少し大きいですが、形は似ている。群生している様も同様です。
最近都内でもよく見られるこの花、実は海外から持ち込まれた大陸原産の外来植物です。
名前はオオアラセイトウ。
分類は、菜の花と同じアブラナ科なので、なるほど似ているわけです。
また、この花には「諸葛菜(しょかつさい)」という別名があることも知られています。
この名前は、中国の古典文学『三国志演義』に登場する蜀の英雄、諸葛孔明が、魏国との戦争の前線で、軍隊の糧食をまかなう一助として栽培したことに由来するのだとか。
このオオアラセイトウが、実際に栽培された植物そのものだったかどうかは定かでありませんが、厳しい戦場で屯田を行ない、作物を作ったという孔明は、政治や軍事のみならず、土いじりでも天賦の才を持つ人物だった?のかもしれません。
そんな諸葛菜ことオオアラセイトウですが、持ち前の繁殖力の強さで、今や全国的にその分布域を広げてしまいました。
実際に見ればわかる通り、オオアラセイトウが群生する場所に、他の植物が生育できる余地は、ほぼありません。
このように在来の植物や、それを食べる昆虫などに影響を及ぼす外来生物は、一度拡散してしまうと、防除や対策がきわめて困難になります。
折しも4月29日、東京の多摩六都科学館で、外来生物をテーマにしたイベントをやらせていただくことになりました。
この問題に私たちは、どう取り組むべきなのか。
ぜひご一緒に考えていただければと思います。(広報担当 三間)