姿を消した「元祖」ペンギン


どういう理由でそうなったのか、調べがつかなかったのですが、本日4月25日は「ペンギンの日」なのだそうです。

動物園で、またさまざまなキャラクターとして、ペンギンは世界中で大変な人気者です。しかし、野生の世界では目下、全18種のうち11種が絶滅危機種とされています。

実はもう1種、絶滅してしまったペンギンがいます。正確に言えば、ペンギンによく似た別の海鳥で、名はオオウミガラス。南半球にすむペンギン類(ペンギン目ペンギン科)に対し、この鳥はウミガラス類(チドリ目ウミスズメ科)に属し、北半球の大西洋北部に生息していました。

このオオウミガラスの学名(ラテン語名)が、Pinguinus impennis。「ペンギン」の語源となった名を冠しています。

19世紀半ばに乱獲によって絶滅し、今では標本と絵でしか見ることができませんが、その姿はペンギンそのもの。通常、ウミガラス類は普通に飛べるのですが、オオウミガラスだけは飛ぶことができず、そうした点までペンギンによく似ていました。

ちなみに、Pinguinusとは、ラテン語で「脂肪が多い」というような意味だそうで、寒い海に暮らし、厳しい冬を乗り切って生きてきたためでしょうか、オオウミガラスは身体に厚く脂肪を蓄えた鳥で、その脂もまた、乱獲の対象として狙われる理由の一つとなっていたようです。

幸いにして今のところ、ペンギン類の中に絶滅してしまった鳥はいませんが、営巣できる自然環境が失われたり、漁網にひっかかって命を落としたり、気候変動による影響などによって、危機に瀕しているものが少なくありません。

「ペンギンの日」の今日、あらためてペンギンたちが生きられる海の環境を、未来に向けて守ってゆかねばと思います。(広報室:三間)

一見、ペンギン!に見えますが、違います。これは海鳥のウミガラスで、北半球にすんでおり、飛ぶことができます

オオウミガラス。19世紀半ばに乱獲によって絶滅しました

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

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