野生動物の数を調べる


「この動物は絶滅しそうだ」と聞くと、「あと何頭、残っているの?」と聞きたくなりますよね。でも実は、野生動物の数を調べるのって、とても難しいんです。

たとえばトラ。
赤ちゃんが生まれる時期以外は、オスもメスもほとんど1頭で暮らすことが知られています。

限られた範囲なら、1頭ずつ、特徴を把握しながら数えられるかもしれませんが、広く深い森で木や岩の陰に見え隠れするトラを実際に数えるのは、まず不可能。

しかも、それが何か国もとなれば、気が遠くなるほどです。

そのため野生動物の数は、調査や計算による「推定値」である場合がほとんどです。

たとえば、縄張りを持つトラのような動物なら、生息域全体と1頭あたりの縄張りや行動範囲の広さから、大まかな数字を割り出すことができます。

これに、オスとメスの縄張りの広さの違いや、生息に適した場所の割合など、さまざまな要素をふまえて推定値を出すわけです。

一方、ツキノワグマのように縄張りを持たない動物や、昆虫のような小さな動物、また海の生きものなどは、そうはいかないため、より推定が難しくなります。

それでも、野生動物の数を推定するのはとても重要です。保護区をつくるなどを設立する際に、絶滅の危機にある動物の個体数を数字で示せれば、その重要性がより理解してもらえる可能性が高まるからです。

たとえ推定値でも、それがさまざまな保護活動の出発点になるのはよくあること。その把握のための調査は、現場でもっとも大事な取り組みの一つと言えるかもしれません。

海外の厳しい自然環境の中で、そうした活動に取り組む現地のスタッフたち。彼らを日本から応援することも、私たちの大事な仕事の一つです。(広報室・佐久間)

私たちWWFもそうした生息数などを把握するため、自動撮影カメラやときにはラジコンヘリ(!)なども使って、守るべき生きものたちの生息状況の調査を行なっています。

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マーケティング室(会報担当)
佐久間 浩子

WWFではずっと「伝える」ことに携わってきました。今は会報を担当しています。

なにごとも決めつけてはいけない。知ったつもりになるな。複雑なものを、複雑なまま受け止める覚悟を持て。想像力を磨き、ヒトの尺度を超える努力をせよーー動物や植物に教えられたことを胸に、人と自然の問題に向き合い続けたいと思います。

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