熱波、大洪水... 異常気象がもたらす「警告」
2015/06/01
千人以上にのぼる死者を出しているというインドの熱波。メキシコでの竜巻による被害。そして、アメリカ南部で広がっている大雨による洪水。
日本でも、5月からもう真夏日が始まり、暑い日が続いていますね。
最近こうした気象をめぐる、気になるニュースがさかんに報道されています。
さらに昨年発生したエルニーニョ現象が、4月に勢いを盛り返し、秋にかけて続く可能性が高いと気象庁が発表しました。
エルニーニョは、太平洋の赤道付近の海水温が高くなる自然現象で、これが生じると、世界各地で大雨や酷暑、干ばつ、冷夏などの異常気象が発生しやすくなります。
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地球温暖化ではないの!?と、気にされる方もいらっしゃるかもしれませんが、今のところ、科学的にエルニーニョ現象の発生と温暖化の間に、直接的な関係は認められていません。
ですが、気になることも指摘されています。温暖化は、多くの地域において、エルニーニョがもたらす干ばつや豪雨を「増幅」させるおそれがある、ということです。
そうした異常気象に、私たちも備えなければなりません。
たとえば、温暖化がこのまま進行すると、日本では真夏日が、1年に100日を超える可能性が指摘されています。
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5月から急に暑くなった日本。春先、まだ体が慣れていない時期に、急に暑くなると、体温調節がきかず、熱中症にかかりやすくなります。
つまり、普段の暮らしの中で、春から秋にかけて4カ月近くも、熱中症に注意し続けなくてはならなくなる、ということです。
この所テレビなどで盛んに熱中症対策が訴えられていますが、まさにこれは温暖化への「適応」の準備そのもの。同時に、「温暖化が進めば、こういう未来がやってきますよ」という警告でもあります。
そうした警告が発せられている地球の未来をどうするのか。
その大事な選択が託される国連の温暖化防止会議(COP21)が、今年の年末、パリで開催されます。
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異常気象による農作物への影響も心配されます。まさに暮らしにかかわる問題です。
今日からは、そのステップとなる国際会議が、ドイツのボンでスタート。
現地の様子をまたご報告いたしますので、ぜひ、皆さんも関心を持って、注目していただければと思います。(自然保護室 小西雅子)
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ガンジス川河口のスンダルバンス。ベンガルトラの重要な生息地の一つでもあります。ここでは高潮や海面上昇が地域の暮らしに被害を及ぼしています。