フィールドの生物学『野生のオランウータンを追いかけて』
2013/10/04
こんにちは、自然保護室の小林です。
わたしの大好きなシリーズ本に、東海大学出版会さんの「フィールドの生物学」というものがあります。
毎回、著者の方々の波乱万丈なフィールド体験記にわくわくとし、描かれていく生き物たちの魅力に取りつかれてしまいます。
今回はこのシリーズの一冊として今年8月に出版された、「野生のオランウータンを追いかけて」という本のご紹介をさせていただこうと思います。
この本の著者は、ボルネオ島でオランウータンを追いかけている金森朝子博士。描写されている熱帯雨林での日々の悪戦苦闘と苦労の中で、次第に明らかにされるオランウータンの意外な一面が、つぶさに記されております!
生きもの好きな方や、熱帯雨林の世界に興味のある皆さんに、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
本書でも触れられていますが、今ボルネオ島ではオランウータンをはじめとした実に多様な生き物たちの生息地が、急速に失われていっています。
その大きな原因となっているのが無秩序な森林伐採や、アブラヤシ農園の開拓。その産物である熱帯材やパーム油を、わたしたち日本人も日常的に使っていることをご存知でしょうか?
WWFでは、こうした問題を解決するために、FSCやRSPOのような「持続可能」な形での木材やパーム油の利用を目指した認証制度を推進していますが、認知や普及はまだまだこれから。
ボルネオのオランウータンの危機!なんて、遠く離れた違う世界の出来事のように感じますけれど、彼らの直面している問題は、実はわたしたちにとって本当に身近な問題です。
少しでも多くの方にそういった事実を知ってもらって、一緒に考えていただけたらな、と思います。