フィリピンの訴え
2013/11/13
国連の温暖化防止会議(COP19)が開幕した、ポーランド・ワルシャワより、温暖化担当の小西です。
「まさかあれ以上の被害に見舞われるとは、思いもしなかった」
COP19の開会式で、フリピン政府代表が静かに話し始めました。
フィリピンには昨年のCOP18の会期中にも台風24号が上陸し、540万人の被災者を出しています。
その国が今年もまた巨大な台風に襲われ、被害者は960万人、死者は1万人を超えると予想されているのです。
「快適なソファに座って温暖化に懐疑の目を向けている人は、現場に行って見てほしい。海面上昇に苦しむ南太平洋の島々、ヒマラヤの山麓、そしてフィリピの被災地を」
フィリピンの政府代表が涙ながらに訴えると、会場は感動と連帯の拍手に包まれました。
今、世界の各地から、大気中の二酸化炭素濃度(一日平均)が400ppmを超えたという報告が続いています。
今年の開会式では、気候変動枠組み条約のフィゲレス議長が、まず会場に深呼吸を促した後、「皆さんはCO2濃度400ppmを超えた大気を吸い込んでいる」とスピーチ。
さらに、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のバチャウリ議長も、400ppm超えが、産業革命後、初めてのことであると説明し、194の締約国の交渉官に対して気候変動の脅威と、「政策が解決の鍵だと、科学は告げている」ことを訴えました。
気候変動の影響を受けやすい、弱い立場の人々の声に耳を傾け、科学が示す事実を受け入れて、交渉を大きく前進させることが、ここワルシャワのCOP19の場で、世界のリーダーたちに求められています。