フィリピンの訴え


国連の温暖化防止会議(COP19)が開幕した、ポーランド・ワルシャワより、温暖化担当の小西です。

「まさかあれ以上の被害に見舞われるとは、思いもしなかった」

COP19の開会式で、フリピン政府代表が静かに話し始めました。

フィリピンには昨年のCOP18の会期中にも台風24号が上陸し、540万人の被災者を出しています。

その国が今年もまた巨大な台風に襲われ、被害者は960万人、死者は1万人を超えると予想されているのです。

「快適なソファに座って温暖化に懐疑の目を向けている人は、現場に行って見てほしい。海面上昇に苦しむ南太平洋の島々、ヒマラヤの山麓、そしてフィリピの被災地を」

フィリピンの政府代表が涙ながらに訴えると、会場は感動と連帯の拍手に包まれました。

今、世界の各地から、大気中の二酸化炭素濃度(一日平均)が400ppmを超えたという報告が続いています。

今年の開会式では、気候変動枠組み条約のフィゲレス議長が、まず会場に深呼吸を促した後、「皆さんはCO2濃度400ppmを超えた大気を吸い込んでいる」とスピーチ。

さらに、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のバチャウリ議長も、400ppm超えが、産業革命後、初めてのことであると説明し、194の締約国の交渉官に対して気候変動の脅威と、「政策が解決の鍵だと、科学は告げている」ことを訴えました。

気候変動の影響を受けやすい、弱い立場の人々の声に耳を傾け、科学が示す事実を受け入れて、交渉を大きく前進させることが、ここワルシャワのCOP19の場で、世界のリーダーたちに求められています。

 

心を動かすスピーチが続いたCOP19の開会式

会場では多くのボランティアたちも活動しています

 

 

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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