日本の「削減目標」発表 その影響は?
2013/11/15
国連気候変動会議(COP19)が開かれている、ポーランドのワルシャワより温暖化担当の小西です。
11月15日、日本政府が2020年までの温室効果ガス削減目標を発表しました。その内容は「2005年度比3.8%減」。
京都議定書の基準年(1990年)で換算すると「3.1%増」、つまり削減どころか、排出量の増加を許す目標なのです。
この前日の14日、ここワルシャワのCOP19会場で、WWFインターナショナルは、予想されていた日本の削減目標に関する緊急記者会見を行ないました。
その場で、WWFインターナショナルのマーク・ルーツは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、「先進国は2020年までに1990年比で25~40%削減する必要がある」と指摘している点をふまえ、「ほとんどの先進国の削減目標がこの数値を下回って」いる現状を指摘。
その中で、世界第5位の排出国でもある日本の削減目標引き下げは「国際交渉に非常に悪い影響を及ぼす」と懸念を強く訴えました。
また、私たちからも、国際メディアに対して日本の目標の背景を説明。日本はもっと積極的な排出削減は可能だとするWWFのシナリオを発表しました。
COP19における議論の焦点は、各国が2020年目標をいかに引き上げるかにあります。
そのさ中にあって、日本が発表した「2005年度比3.8%減」という目標の引き下げは、目標引き上げを求められている他の先進国や新興国の緊張をゆるめ、気候変動の被害を大きく受けている途上国を落胆させかねません。
また、昨年のCOP18で、2020年までに「15%~25%削減する(2000年比)」と発表したオーストラリアも、目標の引き下げを検討しています。
こうした一部の国の動きが、20年にわたり各国が続けてきた国際交渉を大きく後退させることにならないか、現地に入っている世界中の環境NGOのメンバーは今、強い危機感を抱いています。
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