世界の温暖化対策をリードするビジネス界からのメッセージ
2015/12/09
温暖化問題担当の池原です。
現在、パリで開催されている国連の気候変動会議「COP21」で、各国の政府代表がしのぎを削る中、ビジネス界から明るいニュースが飛び込んできました。
世界の産業界が、温暖化防止に向けて強いリーダーシップを発揮することを明らかにした発表が、パリで行なわれたのです。
その内容は、科学と整合した、企業による温室効果ガス排出削減目標の設定を推進するイニシアチブ「Science Based Targets(SBT)」の下、新たに世界の114の企業が、それぞれ目標の設定にコミットする、というものでした。
SBTは、WWFおよびCDP(*)、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)による共同イニシアチブで、参加企業の中には、ソニーやコカ・コーラなど、すでにこうした削減目標を設定し、その承認も取得している企業も10社あります。これからのビジネス界に先んじた、確かな一歩です。
またこの発表で、SBTは2015年末までの目標としてきた「世界100社の参加」を、見事に実現しました。
世界の温室効果ガスの排出量の95%以上に相当する国々は、今回のCOP21までに、自国の削減目標を提出しました。が、残念ながらこれはまだ不十分です。
気候変動の深刻な被害を防ぐためには、地球の平均気温の上昇を「2度未満(産業革命前と比べ)」に抑えることが必要とされていますが、この世界の削減目標は、全て足し合わせても、それを実現するには不足しているのです。
そうした中で、多くの企業が明らかにした今回の意志は、「パリ合意」に向けたCOP21の交渉を励ますものとなるでしょう。
今回の114社の排出量は合計で約5億トン。世界の排出量の約1%に相当します。
2018年までに250社の参加を目指すSBTに、今後さらに多くの企業が参加することを、そして、COP21がその成功を勝ち取ることを、期待したいと思います。