10年先、20年先を見すえた企業がめざす温暖化の防止
2017/07/26
皆さん、こんにちは。温暖化問題担当の池原です。
先日、「SBTi(Science Based Targetsイニシアチブ)」参加企業の一つ、ナブテスコ株式会社の岐阜工場を訪問しました。
SBTiは、WWF、CDP、国連グローバル・コンパクト、そして世界資源研究所(WRI)によるグローバルな共同イニシアチブで、パリ協定が目指す「2度未満」と整合した削減目標を、企業が設定することを推奨するもの。
参加企業には、ライフサイクル全体を見据えた長期的な取り組みが求められます。
ナブテスコは、自社グループの温室効果ガスの総排出量を、2050年に80%削減する長期目標を掲げています。
工場のエネルギー消費で最も大きな割合を占めているのは生産動力(生産工場の機器類を動かすための電力)、次いで空調。
そこで同社は、工場における運用改善や、機器類のインバーター制御により無駄なエネルギー消費を極力削減。さらに、太陽光や風力エネルギーなどの活用にも積極的です。
また、空調については、地下水を利用した地中熱利用システムを導入し、冷暖房などによるエネルギー消費を大幅に抑えています。
工場の方によると、新しい施設を導入する際も、省エネや再生可能エネルギーに関する検討が不十分だと、許可が下りないとのこと。
さすがに、2050年といった長期での環境目標を掲げている企業だけあって、稼働期間が10年、20年単位となる設備投資にあたっても、近視眼的にならず、より長い投資回収年数で判断していることが伺えました。
世界の平均気温の上昇を「2度未満」を実現するため、今世紀後半には人間活動による排出量を実質ゼロにすることを目指す「パリ協定」。
今後、企業の設備投資においても、中長期的な視点での意思決定が益々重要になっていきそうです。