COP21で歴史的な合意「パリ協定」が成立!


フランスのパリより、温暖化担当の山岸です。

こちらで開催されていた国連の気候変動会議「COP21」は、2週間にわたる交渉の末、地球温暖化防止に向けた世界の新しいルール「パリ協定」を正式に採択しました。

初日、150か国の首脳を集めてスタートしたこの会議は、1日延長こそしたものの、議長国フランスの巧みな采配によって多くの対立を乗り越え、歴史的な国際合意にこぎ着けることができました。

この「パリ協定」は、世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑える(さらに、1.5度に抑えることが、気候変動リスク削減に大きく貢献することにも言及)」に向けて、今世紀後半には、世界全体で人間活動からの温室効果ガス排出量を「実質的にゼロ」にしていく方向を打ち出し、その実現に向けたしくみを盛り込んでいます。

世界の気候変動対策を、今後継続的に強化していく方向を明確にした、画期的な合意と言えるでしょう。

私も長い間、国際交渉を追いかけてきましたが、各国の対立に彩られることが多い中で、ここまで大きく前進を実感できたのは初めてです。

また何より、この会議に集まった196カ国が、団結する姿勢を示したことには、大きな意義を感じました。

「パリ協定」採択のハンマーを振り下ろすファビウス議長

採択の瞬間を迎えた参加者たち。総立ちで拍手が鳴り響きました

パリ協定を成立させたのは、196の締約国の連帯でした

まだまだ対立が消えたとはいえません。しかし、本当に大きな被害を受ける人々の側に立ち、何とか世界が進むべき方向性を打ち立てた国際社会の姿には、確かな希望を見ることができました。

干ばつ、異常気象、海面水位の上昇、感染症の拡大、生物の絶滅。気候変動の被害は、世界中で着実に広がりつつあります。

その被害を真っ先に受けるのは、島嶼国や後発開発途上国と呼ばれる貧困層を多く抱える国々ですが、日本のような先進国も決して例外ではありません。

今回の合意は、そうした気候変動の被害に苦しむ人々や生物・自然を守っていく貴重な第1歩となるでしょう。

世界の中の日本もまた、そのための姿勢と取組みが問われます。

私たちの本当のチャレンジは、これからです。

パリ会議の合意を求める市民が、世界各地でかたちづくったハート

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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