沖縄の「やんばる」で新しい国立公園が誕生
2016/09/15
沖縄島北部の亜熱帯の森「やんばる(山原)」で今日、新しい国立公園が誕生しました。
広さは、山林を含む1万3,622ヘクタールの陸域と、3,670ヘクタールの海域、合わせて2万7,000ヘクタールあまり。
ノグチゲラやヤンバルクイナ、オキナワトゲネズミなど、世界でここにしか生息していない動物たちのすみかである貴重な自然を守り、後世に伝える取り組みが、一歩進んだといえそうです。
このやんばるを含む南西諸島は、WWFジャパンが1980年代から保全活動に取り組んできたフィールドでもあります。

やんばるの山と海。距離がとても近接しています
そして今回、国立公園に指定されたエリアには、私たちがこの数年、海と森のつながりを守る視点から、赤土の流出を防止する活動に取り組んできた地域も含まれていました。
そのパートナーとして主体的に動いてくださったのは、地元の自治体やNPO、高校生の皆さん、そして農業に携わる方々です。
このプロジェクトでは、自然保護と農業、観光を一つのものとして実践し、やんばるならではの環境の保全と地域振興を両立する取り組みに挑戦。
期せずして、今回の国立公園計画が示す、地域の産業や文化とともに環境の保全を目指す、という方針にも一致した活動を展開してきました。

農地などからの赤土の流出を止めるのは大きな課題です。海に流れ込むと、海の自然が大きな影響を受けます
沖縄では今後、ユネスコの世界自然遺産登録に向けた期待が高まる中、経済重視に偏らず、自然を守りながら、持続可能な形でその利用を進めていく取り組みが求められます。
また、国立公園にするだけでは解決できない、米軍基地施設や、外来生物の問題があることも忘れてはなりません。
保全にかかわる人たちのネットワークをつなぎ、残された自然の大切さと、地域の現状に目をしっかりと向けた取り組みを、これからも続けていきたいと思います。(自然保護室 権田)

地元の高校生たちによる赤土の調査活動
声明
関連情報

やんばるの地元、東村での地域連絡会合会議にて。休憩時には、この村が日本一の生産量を誇る名産のパインが振る舞われ、旬の味覚を堪能しつつ、舌も議論も弾みました