世界が認める沖縄の自然を守るために
2016/04/04
沖縄の石垣島より、サンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」の権田です。
先月、環境省が「やんばる国立公園」の策定計画について、一般に向けた意見募集(パブリックコメント)を行ないました。
「やんばる(山原)」とは、亜熱帯の森が広がる沖縄島北部を示す地域で、この計画では特に、東、大宜味、国頭の3村にまたがる地域が国立公園の対象地となっています。
その面積は1万7,300ヘクタール。
森から海岸までのエリアが含まれ、予定されている世界自然遺産への登録を強く意識したものになっています。
しかし、案を細かく見てみると、厳重な保護対象地である「特別保護地区」が飛び地で設置されていたり、その周辺に配置される、許可または登録により利用が認められる緩衝帯が、わずかな面積しか確保されていなかったりと、計画としてはまだ不備があります。
また、歩道や施設の具体的な整備計画や利用ルールは、今後の検討事項とされており、世界遺産登録に向け、増加が予想される観光客への対応にも懸念が残ります。
さらに、指定地域を分断している、7,800ヘクタールの米軍北部訓練場と、そこで進められているオスプレイの離発着を想定した6つのヘリパット建設も、環境保全の観点からは危惧される課題です。
これらの問題について先日、WWFとしても対応・改善を求める意見を提出しました。
もちろん、やんばるの自然を守るためには、実際に現場で保全に向けた取り組みも必要です。
現在、私たちは大宜味村で、地元の役場や農業関係者、高校生たちと協力し、農地から流出する土砂が川や沿岸の自然に及ぼす悪影響を軽減するための取り組みを行なっていますが、これらもそうした活動の一環です。
世界的にも貴重さが認められている沖縄の亜熱帯の森や海。
その自然が育む生き物を、暮らしと共に守ってゆける地域のモデルをいかに創ってゆくか。
取り組みはまだまだ続きます!