©Shutterstock / Norikazu / WWF

大型連休、四国で太陽光発電が電気の需要を支える


例年にない大型連休となった今年のゴールデンウィーク。
その休み明けに、びっくりするニュースが飛び込んできました。
連休中、四国で一時、太陽光発電が電気の需要の88%!を支えていたと、四国電力が発表したのです。

図は2019年5月8四国電力のプレスリリースを参考(一部WWFで脚色)

図は2019年5月8四国電力のプレスリリースを参考(一部WWFで脚色)

この数字が出たのは5月5日正午。
エリア需要値に対する割合(kW)ですが、背景には連休後半に晴天が続いたこと、また、連休中は企業も休みが多く、電気の使用量が少ないため、相対的に太陽光発電の割合が増えたと考えられます。

ただし、このニュースが興味深いのは、太陽光発電の割合の高さもさることながら、それを四国電力が上手く運用できている点にあります。

一般的に、再生可能エネルギーのなかでも、太陽光発電や風力発電は、発電する量や時間が天候に左右されることから、「お天気任せ」と言われ、割合が高くなると電力の安定供給が難しくなると言われます。

しかし今回、四国電力は、一時的とはいえ太陽光発電の割合が88%まで高まっても安定供給を確保しました。

注目のポイントは、四国電力と他の地域の電力会社をつなぐ「連系線(送電線)」の活用です。
太陽光で過剰に発電された電気も、無駄なく他地域へ流すことで、需要と供給のバランスをとる、これを実現したのです。

再生可能エネルギーが普及する欧米諸国は、こうした運用技術やスキルが高いことで知られています。
以前、九州電力がおよそ8割を達成したことを紹介しましたが、今回の事例でもわかる通り、日本でも確実に再生可能エネルギーを電力源の主力として活用できる体制が、整ってきていると言えるでしょう。
今後その再生可能エネルギーの割合を、さらに大きく増やしていけるように、私たちも取り組みを続けたいと思います。

(自然保護室:市川)

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自然保護室(気候・エネルギー)
市川 大悟

学士(農学)
準学士(機械工学)
高等専門学校で機械工学を専攻後、大学で環境学を修了。卒業後は工学分野の知識を活かし、環境分野とも関わりの深いエネルギー分野のエンジニアを経て、2012年にWWF入局。以降、再生可能エネルギーのプロジェクト担当者として活動。

子どもの頃にどっぷり遊び漬かった田舎の原風景。その自然をこれからも残したいと考えてWWFに。元は畑違いのエンジニアですが、逆に培った工学の経験と環境の知識を糧に、エネルギー面から環境問題の解決に貢献したいと考えています。主な活動は、地域での再生可能エネルギーの導入を手助けすること。モデルプロジェクトの組成や、合意形成の援助、国の制度を変えるための政策提言などを行っています。
人と自然が共存できる社会を、皆さんにお見せできるよう、これからも頑張っていきます!

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