[COP10関連] 北極圏の自然とCOP10
2010/10/29
WWF北極圏プログラムの、アレキサンダー・シェスタコフです。
今回のCOP10では、北極の生態系の変化と未来についてのサイドイベントを行ないました。
北極の環境問題で、最初に思い浮かぶのが地球温暖化でしょう。
大陸を持たない北極には、広大な海氷があるだけですが、この氷が今や失われ続け、そのことがさらなる問題の発生につながろうとしています。
一つは油田開発。北極海では、厚い氷に阻まれて出来なかった調査や開発が、今では十分可能になり、その資源を各国が狙っています。しかし、油が漏れて海域が汚染された場合、極北の自然にどのような影響が出るのかは、まったく分かっていません。
漁業も問題です。氷が減ると、それだけ漁場は広がりますが、北極海での漁業規制は、まだ整っていません。一方的に漁業を拡大すれば、資源の乱獲が懸念されます。
この他にも、北極圏に移り住む人の数が増えるにつれて、人間と野生生物の衝突する問題や、人が持ち込む外来生物の問題なども、新たに浮上しています。
私たちは、こうした問題を解決する手段の一つとして、保護区の設立を考えています。それは、北極という開けた自然を、多国間で協力して保全する際のカギとなる取り組みであり、同時に今回のCOP10における主要課題にも通じるテーマです。
会議場では今、その結果が出ようとしています。北極の未来にもつながるCOP10の合意に注目したいと思います。(WWFジャパン取材・編訳)