カンクン会議(COP16)の成果の国内の受け止め方への違和感


温暖化担当の山岸です。
早いもので、メキシコ・カンクンでの国連気候変動会議(COP16・COP/MOP6)が終了してから2週間が過ぎようとしています。

今回は、私がWWFジャパンに入局した2003年以来、とりわけ印象に残る、良い結果の出た会議でした。こういうのも何ですが、これほど気持ちよく帰国できたのは、本当に久しぶりです…

正直、会議が始まる前は、各国の政府代表や、私たちNGOメンバーの多くが、大きな不安を抱えていました。

昨年のコペンハーゲンの会議では、過去4年間の集大成として求められていた「包括的な合意」は成立せず。しかも、会議自体が、参加国間の信頼を傷つけるような形で終わりました。

追い討ちをかけるように、2010年の中間選挙の結果、アメリカが法的拘束力を持つ国際的な温暖化防止の枠組みに参加することが、ほぼ絶望に。

「国連の下で温暖化問題に取り組むのはもうダメなのか」という不安を、多くの人々が頭の片隅のどこかに抱きながら臨んだのが、このカンクン会議だったのです。

しかし、議長国メキシコの誠実さに支えられた国際社会は、今1度、国連の下で各国が協力してこの問題に取り組むことを選択しました。

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カンクン会議が終わり、成果を喜ぶWWFのスタッフたち

もちろん、今回の合意で全てが決まった訳ではありません。WWFの目から見ても、内容的には不充分な点が多いのも事実です。が、もっと悪い結果になってもおかしくはなかった中で、国際社会がなんとか協力を前に進める意志を、このカンクンで明確にしたことは、とても意味のある事でした。

ところが、日本に帰ってきて、会議に対する国内メディアの報道姿勢や、政治的な反応が、現地で感じたポジティブなものとは、ずいぶんと違うとことに驚きました。

カンクンでは「予想以上の成果が出た。これから頑張れる!」という雰囲気が一杯でしたが、国内では「先送りになった」というネガティブな受け止め方が、なぜか多かったように思います。

国際社会の中での空気と、今、日本で伝えられ、作られている空気との間には、大きなギャップがあります。

1月13日、WWFも含めたNGOは、合同でこのカンクン会議の報告会を開きます。
現場で私たちが感じた「空気」を、きちんとお伝えしたいと思います。

 

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

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生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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