新種発見の久米島で高まる自然保護の機運


自然保護室の安村です。
沖縄県の久米島の海で、水深35m程にある海底鍾乳洞から新種のヌマエビが見つかったニュースを、今月はじめに発表しました。

ヌマエビの仲間は、その名が示す通り、本来は川や湖などの淡水域に生息していますが、今回の新種は海域に生息しており、世界的にも例がない、大変興味深い発見です。

発見は、2009年10月から始まった「久米島応援プロジェクト」の一環として行なった調査活動での成果です。

このプロジェクトは、地域の活性化につながるような、自然の豊かさを探ったり、再発掘する活動と、サンゴ礁への赤土の流入といった環境問題の現状を調べる取り組みです。

活動の成果を地域の皆さんに知ってもらいながら、地域の自然の恵みを持続的に利用し、守っていくための仕組みを共に考え、実践することを目指しています。

先週の日曜日に久米島で開催されたイベントでも、「久米島応援プロジェクト」はブース展示を行ないました。今回の「海のヌマエビ」や昨年に大きな話題となった「ナンハナリのサンゴ大群集」のパネル展示の前には、たくさんの方が、長い間立ち止まって、写真を眺め、解説文を熱心に読んでいらっしゃいました。

新種の発見は、とかく多くの人が心を躍らせるニュース。
それが自分たちの島で見つかったとあれば、喜びもひとしおだと思います。

このイベントでは、サンゴ礁の海をはじめ、豊かな自然環境を保全する活動に、島の皆さんが一丸となって取り組む機運が高まっているのを実感しました。今後にもぜひご注目下さい!

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日曜日に行なわれた島でのイベント。

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サンゴ礁を脅かす赤土の流出を防ぐためのグリーンベルト。プロジェクトで去年11月に植えたのがこんなに大きくなりました。

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自然保護室長(淡水・リーダー開発・PSP)
安村 茂樹

修士(生物化学・早稲田大学)
サンゴ礁センター駐在時に地域住民主体の環境調査を立ち上げ(現在も石垣島、久米島で継続中)。南西諸島域にて、多分野の研究者と協働した野生生物有害化学物質汚染調査、生物多様性評価調査を指揮。GIS手法を用いた保全重要域図は生物多様性条約で示されたEBSAに、野外調査ではオキナワトゲネズミ再発見や久米島沖のサンゴ大群集発見に寄与。UNEP/GEF黄海プロジェクトと連携した日中韓湿地保全活動をリードし、2020年より緊急支援や淡水・教育活動に関わる部門を統括。

沖縄のサンゴ礁と森、中国・韓国の干潟の保全に従事。国際会議でサイドイベント主催やロビー活動をする機会をいただきました。国際、環境、NGO-この3ワードが合わさるWWFで、何をすべきか考え、その仕事の醍醐味を実感し、行動する。そんな機会を一人でも多くのスタッフに提供したいです。晴れの日に気が向いたら、自転車で通勤し、休みは、川でカヌー漕いでいます。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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