COP17:京都議定書延長を求める声が高まる


「靴を履いている人は手を挙げてください」
南アフリカの青年が呼びかけると、たくさんの人が手を挙げます。彼は次々と誰もが手を揚げる質問を投げかけ、最後に「京都議定書の第2約束期間に賛成の人は、手を挙げてください」と呼びかけました。すると、多くの手が挙がり、会場は静かな拍手に包まれました。

これは、12月2日にCOP17で開催された、京都議定書の特別作業部会の総会での一幕です。
この日の総会では、アフリカの若者、女性、先住民の代表が、世界に向けて市民の声を発信しました。

彼らの主張は「私たちは地球温暖化を引き起こしていないのに、地球温暖化に苦しんでいる。この問題を引き起こした先進国は、これ以上の温暖化を食い止めるために京都議定書の第2約束期間に合意すべきだ」というものです。

WWFはこれまで、実際の温暖化の被害に苦しむ、世界中の人たちの証言を集め、発表する『地球温暖化の目撃者』プロジェクトに取り組んできました。

アフリカを含む、途上国からも多く寄せられたその証言は、地球温暖化という問題が、貧困にあえぐ国や、女性、子どもたち、先住民など社会的な弱者にとって、紙に書かれた言葉や数字ではなく、暮らしや人生自体を脅かす、深刻な脅威であることを物語っています。

この南アフリカ・ダーバンで開かれているCOP17で話し合われることは、いずれも本来、こうした問題を解決するために必要なことといえます。

今週1週間、京都議定書の特別作業部会では、先進国の削減目標、森林吸収源、第2約束期間のテーマで議論が行なわれました。

とりわけ、第2約束期間の合意はダーバンでの成果を決する重要なテーマであるだけに、先進国に合意を求める途上国の声は次第に高まっています。

先進国がその決定を下せるのか。来週1週間の会議の行方を注目してください。(温暖化担当、山岸尚之)

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会議場に入るためのIDカードの裏に貼られたアイ・ラブ・KP(京都議定書)のシール

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「京都議定書の第2約束期間に賛成の人は手を挙げてください」と呼びかける南アフリカの青年

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京都議定書の特別作業部会

 

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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