すべての人に食料と水、そしてエネルギーを
2011/12/08
南アフリカ・ダーバンより、温暖化担当の小西です。
12月7日、COP17の会場で、WWFは「すべての人に食料と水、そしてエネルギーを」と題したサイドイベントを行ないました。
WWFがアフリカで自然保護活動を開始してから50年が経ちますが、近年はこのフィールドで、地球温暖化の影響にも向き合い、解決をめざす活動にも取り組んでいます。
地球温暖化は、アフリカの大地に深刻な影響を及ぼしています。たとえば旱魃――
マダガスカルでは、人口の80%が農業に従事していますが、2008年から2年間、この国は大旱魃に襲われました。大地は乾き、農作物は枯れ、生きる糧を失った農民はふるさとを離れ、原生林を切り開いて農地にせざるを得ませんでした。
また、モーリタニアからセネガルに至る西アフリカの7か国では、旱魃で農地を逐われた農民たちが、ギニア湾沿岸に移住しました。そのため水産資源の生産力を上回る規模で漁業が行なわれるようになり、世界で最も豊かな漁場のひとつだったギニア湾の水産資源が激減してしまいました。
さらに、水力発電に頼るケニアでは、旱魃で発電量が低下。電力不足に陥りました。これを補うため石油の輸入を拡大した結果、電力価格が高騰し、貧困層がますます困窮しています。
地球温暖化は今、食料、水、森林、エネルギーの分野でさまざまな問題を引き起こしています。
今回のイベントで、WWFインターナショナルで気候変動とエネルギー分野を率いるサマンサ・スミスは、「温暖化を引き起こす化石燃料の本当のコストを反映させれば、自然エネルギーのコストは安い。食料、水、エネルギー問題を同時に解決する自然エネルギーを普及させれば、雇用の創出と持続可能な経済成長が図れる」と訴えました。
こうした活動を拡大させ、アフリカ諸国の持続可能な開発を促すためにも、今ダーバンに集っている世界の閣僚たちの決断が問われています。