小笠原で見つかった海鳥のニュース


web担当の三間です。今朝、小笠原諸島で珍しい海鳥が確認された、というニュースが流れていました。

この鳥、「ブライアンズ・シアウォーター」という、妙な名前で報道されていましたが、これは英語名をそのままカタカナにしただけ。Shearwaterは「ミズナギドリ」なので、「○×ミズナギドリ」という日本語の名称は、これから付けられることになりそうです。

「ブライアンズ」は1960年代に標本がハワイで採取され、それが最近になって新種と認められた鳥です。しかもここ20年ほどの間、生息が確認できず、絶滅したのではないか? とも言われていました。それもあって、今回の日本での確認は、世界的にも注目されそうです。

ミズナギドリをはじめとする海鳥の中には、繁殖のための巣作りを除くと、一年のほとんどを広い海上でくらし、その行動範囲や生態がよく分かっていないものが少なくありません。今回の「ブライアンズ」と同様、長い間、その存在が確認できなかったり、いまだに繁殖地が分からない、といった例もあるとのこと。

これは同時に、こうした海鳥たちがどこで、どのような自然破壊の影響を受けているかも、非常に分かりにくい、ということでもあります。

報道によれば、「ブライアンズ・シアウォーター」は小笠原諸島周辺に、それなりの数が生息している模様ですが、長年見つかってこなかったことからも、絶滅のおそれは高いと考えられるそうです。

これからどのような事実が明らかになってくるのかも楽しみですが、単に「珍しい鳥が見つかった」というニュースで終わることなく、鳥たちが生きる上で必要としている、海や繁殖地の自然についても、たくさんの人が考えるきっかけになってくれればと思います。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

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