御蔵島のミズナギドリ調査
2012/02/06
空から大きな鳥が降る…
「星降る夜」ならぬ「鳥降る夜」があるのを、ご存知でしょうか。しかも、ハトよりずっと大きい鳥が、空からバサバサと落ちてくるのです。
鳥の正体は、オオミズナギドリという海鳥。春から秋にかけての繁殖期、親鳥たちは、日中は海で魚をとり、夜になるとヒナの待つ巣へと帰ってくるのですが、このときの着地の仕方が実に豪快。海に面した断崖にある巣穴の近くをめがけて、まさに「落っこちて」きます。
これは翼の構造上、仕方のないことのようです。オオミズナギドリは、体の大きさに比べて、翼が長いのが特徴です。そのため、ふわりと地面におりる、といった動作は苦手。陸上を移動するときも、長い翼が地面にあたるため、おいそれとは飛び立てないのに加えて、足が尾に近いほうについているので、バタバタ、ヨチヨチ、なんとも不器用にしか動けません。
でも、いったん海上に出れば状況は一転。
細く、長い翼で海面の上昇気流をとらえ、自由自在に滑空する姿は、どれだけ見ていても飽きないほどカッコイイのです。
昨年、この鳥が営巣する島を訪れる機会が、2度ありました。東京電力福島第一原子力発電所から、海へ大量に流された放射性物質が、海鳥にどのような影響を与えているかを調べようとしているNRDAアジアの活動を手伝うためでした。
海で魚をとって食べているオオミズナギドリのような海鳥たち、そして、彼らを頂点とする海の生態系に、今後一体、どのような影響が出てくるのか、長期にわたる調査が必要とされています。
節分を過ぎて、季節はゆっくりと春に向かっています。
冬の間、東南アジアやオーストラリアの海で過ごしていたオオミズナギドリたちが、新しい世代を育てるために日本沿岸の島々へと帰ってくるのも、もう間もなくです。(広報担当:佐久間)