ドイツでの国連気候変動会議、第2週目に突入


ドイツ・ボンより、温暖化・エネルギー担当の山岸です。
こちらで開催されている国連気候変動会議は第2週目を迎えています。

第1週の終わりから参加したのですが、着いてみると、いきなり交渉は紛糾していました。

今回の1つの目玉は、昨年の南アフリカ・ダーバンで開催されたCOP17・COPMOP7において設立が決まったADPと呼ばれる特別作業部会で、どうやって今後の議論を進めていくかを決めることです。

ADP は、2015年までに、2020年から始まる新しい国際枠組みに合意するための交渉を行なう場として作られました。

もめているのは、その会議の議長を誰がするのか、そして、どういう議題で議論するべきか、というところです。

そんなことから議論がもめるのか、と思われるかもしれませんが、国連の会議では、こうした最初の議論の枠組みを決めることが後の議論に響くので、しばしば紛糾します。

今回の紛糾の中心は中国でした。中国は、議長の選出についての提案に異議を唱え、その後さらに、その他の国々と共に、ADPの一つの議題である、「(各国の削減水準の)野心のレベルを引き上げる」という項目に反対したのです。

この背景には、これまで他の作業部会で議論されてきたこうした議論を、ADPにあえて移したことに対する不満があったようです。他の場所では、途上国と、先進国の扱いの違いが明確でしたが、ADPでは、基本原則以上には明確ではありません。これまで先進国はさんざん議論を遅らせてきたのに、最終的には中国にも責任を押し付け得る場所で議論するのか、という不満です。

ただ、これはダーバン会議ですでに決まったことであり、中国の反対の仕方も極めて非建設的な姿勢として多くの参加者の目には写りました。何より、野心のレベルを引き上げるという議論を失うわけにはいきません。このため、中国はNGOから「化石賞」を受賞しました。

今日からこのADPの議論が再開されます。前に進めるかどうか。注目していきたいと思います。

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ボンの町と議場の様子

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「化石賞」の授賞式。「化石賞」とは、会議の進行を妨げる温暖化防止に後ろ向きな国に対して、世界のNGOが共同で贈るもの。温暖化の原因になる石油や石炭などの化石燃料と、時代遅れの古い発想を「化石」になぞらえている。常連は日本やアメリカなどの先進国だが、今回中国が初めて受賞した。

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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