原発を増やす!?提示された「選択肢」
2012/05/25
温暖化担当の小西です。
すでに報道されていますが、昨夜、2030年のエネルギーについて検討している経済産業省のエネルギー基本問題委員会から、選択肢の原案が出てきました。発電量の原発に占める割合で、選択肢を分けているものです。
この選択肢では、2030年に原発0%、15%、20~25%、35%、という4案と、政策案「社会的コストを事業者が負担する仕組みの下で、市場における需要家の選択により最適な電源構成を実現」の5つが提示されています。
驚くべきは「原発35%」という選択肢。今でも原発は30%なのに、さらに増やす(!)という案です。実際、この原発35%案は、新増設2基、稼働率80%、稼動年60年という、信じられない想定のもの。今よりも原発を長く、激しく使っていこう、というわけです。
これは却下されると信じていますが、気になるのは、この35%案が「目指す社会」としてあげているのが「安全性の確保を大前提に原子力発電を活用し、経済活力の維持や地球温暖化対策の解決に積極的に取り組む社会」としていること。
実際、各選択肢には参考値として、温室効果ガスの1990年からの削減量が添えられており、原発0%の案では16%、35%ならば28%削減、と試算されています。まるで原発が増えれば温暖化対策が進むがごとく示しているのです。
でもこれは大きな間違いです。
温暖化対策の要は、まず大幅な「省エネ」。そして「再生可能(自然)エネルギー」の大規模な普及です。
ところが今回の5つの選択肢では、省エネの目標が同じになっています。電力は10%、エネルギー全体では20%省エネする、と、全ての選択肢で統一され、選ぶ余地が無いのです。
これでは原発の比率だけで温暖化対策が進むように見えて当然です。対策上、最も肝心な「省エネ」のがんばり具合が、評価されないのですから。こうした「原発が温暖化対策である」かのような書きぶりは、本当におかしいと思います。
3.11以降あれだけ節電できた私たちですから、今後も安全で安心な未来のために、賢い節電&省エネを進めてく力があるはずです。
これから環境省から温暖化対策の選択肢案も出てきますから、十分な対策を期待したいです!